研究課題
ランダムな数列を生成する乱数生成器は、情報セキュリティ分野や自然災害予測のための大規模数値シミュレーション分野に必要不可欠な基盤技術である。しかしながらコンピュータで生成される擬似乱数を用いた場合、安全性の脅威や予測精度の低下が近年大きな問題となっている。そこで本研究では、レーザの高速性とカオスの不規則性を利用した超高速物理乱数生成器の開発を行い、実用化へ向けた高速化および小型化を達成することを目的とする。特に世界最速となる1秒間に1兆個(毎秒1テラビット)の生成速度を有する超高速物理乱数生成器の開発と、光集積回路および後処理用電子回路を実装した超高速物理乱数生成用ボードの開発を行う。乱数生成速度を向上させるために、結合された半導体レーザを用いて周波数帯域拡大実験を行った。3つの半導体レーザを一方向に結合し、各々のレーザの波長を高精度に制御することで、周波数帯域拡大の調査を行った。その結果、30 GHz以上の周波数帯域を実現できた。さらに本手法で生成された帯域拡大カオスを用いて、高速物理乱数生成を行った。その結果、1秒間に1兆2000億個(毎秒1.2テラビット)の高速物理乱数生成に成功した。加えて、白色カオスと呼ばれる広帯域カオス発生方法に関する実験を行い、同等の広帯域出力を得ることに成功した。さらに、レーザカオス発生用光集積回路を用いた物理乱数生成を行い、大量の乱数に対する質の評価を行った。TestU01のBigCrushと呼ばれる統計検定を用いて、440ギガビットの2値乱数列のランダム性の評価を行った。その結果、生成された乱数は統計検定に合格し、十分なランダム性を有していることを示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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