研究概要 |
多目的最適設計および意思決定に関するプログラミング・数値計算の各作業を効率良く平行して遂行できるよう,専用の並列計算機を導入した.これを用いて,目的関数数可変の最適化テスト問題(DTLZ)の解法に取り組んだ.このために,初期サンプル生成(Latin超方格法),応答曲面近似(Krigingモデル),大域的最適解探索(遺伝的アルゴリズム),サンプル追加指標算出(関数基準改善期待値,超体積基準改善期待値)のための各モジュールを構築し,統合した.テスト問題における最適化計算の結果,目的関数数が大きくなるほど,関数基準改善期待値に比べて,超体積基準改善期待値をサンプル追加指標とした最適化計算ケースの方が真のPareto面に近い最適解を探索できることが判明した.これにより,多目的最適設計モジュールによる最適解探索性能を実証できた.一方で計算効率については,目的関数数が大きくなるほど超体積の計算に要する時間が長くなるため,本モジュールの実用化に向けて,超体積の計算アルゴリズムの改良(並列化など)あるいは代替(近似算出など)の必要性が認められた. 今年度中に構築予定であった学習モジュールについては,専用計算機の導入が遅れたため,文献調査に留まった.採用候補として考えられる既存の学習アルゴリズム(遺伝的プログラミング,ニューラルネットワーク)に関して理論的背景を理解し,モジュール化に向けて必要となる前提知識の一部を整えることができた.
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