熱力学的効果を伴うキャビテーションの基礎特性を明らかにすることを目的に,NACA0015翼形まわりのキャビテーション流れの高温水タンネル実験を行った.キャビティ内部の温度の降下量を高精度に計測する必要があるため,翼面に温度センサを張るのでは無く,タンネル側壁からサーミスタプローブを挿入し,不確かさ0.02 K,熱進入による計測誤差が降下量の4%以下となるような,高精度温度計測手法を用いた. 実験より,主流温度80度までの範囲では,熱力学的効果によるキャビテーション体積の抑制は確認されなかった.また,主流温度の上昇とともに,キャビティ内部温度は均一となることが確認された.主流温度80℃では,キャビテーション数の低下に伴いキャビティ内部の温度降下量は増加し,キャビテーションが非定常から準定常へと遷移しても,温度降下量は連続的に増加することが示された. 主流温度80度においては主流速度はキャビティ内の温度に大きな影響を与えないことがわかった.また,Furumanのキャビティ内温度降下量の理論推定式で本実験で得られた度降下量を近似することにより,主流温度80度以上のスーパーキャビテーション状態での温度効果量を定量的に予測できることを示した.
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