研究概要 |
本研究では,直径及びカイラリティ(巻き方)を制御したカーボンナノチューブ薄膜生成実現に向けて,直径及びカイラリティ決定因子の解明を目的としている.平成24年度は,触媒金属面方位が カイラリティ決定に与える影響を考察するため,稠密(111)面について,グラファイト/ニッケル相互作用エネルギーの方位依存性を系統的に計算した.具体的にはエピタキシー安定面のエネルギー及び安定面間エネルギーバリアは計算手法によりばらつきがでるため,海外共同研究者と分担して異なるスケールの計算手法で解析し,その整合性を確かめた.申請者がBond-order型ポテンシャル,ベルギー・アントワープ大がReax-FFポテンシャル,フランス・ONERAがTight-Binidng(TB)法,英国・ケンブリッジ大学が半経験的分子軌道法(SEMO)を用いた計算を行い,計算手法により最安定構造が異なる(Rosei及びTop-fcc構造)に分かれることを見出した.これらの知見を雑誌NanoscaleのFuture articleとして投稿すべく,海外共同研究者との間で分担執筆中である. また,触媒金属上における炭素源分子解離過程を理解すべく,第一原理分子動力学法による解析を行い,稠密Ni(111)面上におけるCH4分子解離過程を明らかにした.この知見を雑誌「Chemical Physics Letters」にて発表した.(Y.Shibuta et al, 2013, 565, 92-97)
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