| 研究概要 |
O_2/CO_2燃焼では,大量の排ガス循環を伴い,高CO_2濃度下で燃焼反応が進行する.CO_2はN_2よりも反応性が高く,CO_2+H→CO+OH(Rl)といった素反応を通して,化学反応に積極的に関与する.また,チャーガス化反応のような気固反応にも,CO_2は関与する.本年度は,CH_4平面火炎と化学反応解析により,高濃度CO_2が炭化水素の分解に及ぼす影響ついて検討を行った.酸素が十分にある場合,CO_2の反応性,すなわちCO_2+H→CO+OHの反応は,Hラジカルを消費するため,燃焼プロセスにおける主要な分岐反応(H+O_2→O+OH(R2))と競合する.したがって,O_2/CO_2雰囲気において炭化水素の分解速度は減少する.しかしながら,酸素不足の条件,すなわち燃料過濃条件下では,炭化水素分解におけるR2の感度係数が著しく減少するため,Rlにより生成されるOHラジカルが未燃炭化水素の分解に大きく寄与する.その結果,O_2/CO_2雰囲気では,空気雰囲気よりも,CH_4やC_2H_2といった未燃炭化水素が著しく減少することが明らかになった.また,排ガス循環に含まれるRecycled-NOの分解挙動についても検討を行い,O_2/CO_2雰囲気におけるFue1-NOとRecycled-NOの相互作用によるNO。低減効果を明らかにした.さらに,O_2/CO_2雰囲気下における微粉炭チャーのガス化挙動について検討した.ドロップチューブ燃焼炉による実験では,O_2/CO_2雰囲気の方が,空気雰囲気よりもbumoutは低下するものの,チャーの細孔が発達し,比較的大きな細孔をもつチャーが生成されることが示された.熱天秤による実験では,粒子温度が同一であれば,O_2/CO_2雰囲気におけるガス化速度は,O_2またはCO_2単独の場合よりも大きいことが示された.
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
年度の初期段階では,平成24年度は,気相燃焼における高濃度CO_2および排ガス循環の影響解明を行う予定であったが,順調に進み,気相燃焼だけでなく,気固反応であるチャーガス化反応についても研究を進めることができたため,当初の計画以上に進展していると判断した.
|
| 今後の研究の推進方策 |
本年度は,0_2/CO_2雰囲気下で炭化水素の分解を促進する条件を明らかにした.炭化水素の分解は,すすの低減とも関連性があり,0_2/CO_2雰囲気下において,すすを低減できる可能性が見えてきた.来年度は,得られた知見を活かし,0_2/CO_2雰囲気におけるすすの低減についても研究を進める.
|
| 次年度の研究費の使用計画 |
自動比表面積測定装置が見積価格よりも低価格で購入できた等の理由により,次年度助成金が生じた.本助成金は,25年度の直接経費と合わせて,すすの生成メカニズムを明らかにするための実験装置の製作,分析等に使用する予定である.
|
