研究課題/領域番号 |
24686029
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻田 哲平 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40554473)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / 知能機械 / バーチャル・リアリティ / 機能性流体 |
研究実績の概要 |
平成24年度に実現したMR(Magneto-Rheological)流体に一様に磁場を印加した状態での力フィードバック制御の性能向上を行い,周波数応答試験を行った.既存の2自由度力覚提示装置を用い,MR流体をナイフで切断する際に1軸方向(切断方向)に対して正弦波で目標提示力を与え,力センサで実際の提示力を測定しボード線図を書くことで応答周波数を評価した.目標提示力の振幅を0.1 [N],オフセット力を0.4 [N]とした条件下では,力帯域幅は約200 [Hz]であることが実験的に示され,従来型のサーボモータで駆動される力覚提示装置と同等以上の性能を有することを確認した.本制御則を1軸方向のみならず切断方向に垂直な上下方向にも拡張し,2軸同時制御も実現することができた.本制御則は,多自由度力覚提示装置を開発する上で不可欠な技術であり,研究の目的実現に大きく役立つ.これらの見地を元に,両手操作に対応した8自由度力覚提示装置の概略設計を行った.力覚提示装置を両手操作に対応させるために多自由度化するにあたり,装置のサイズが大きくなってしまい,使い勝手が低下することが懸念された.そこで,多自由度力覚提示装置をコンパクトのするために,従来利用していたリニア方式のバイポーラ電源ではなく,マイコン等を用いたスイッチング方式のアンプを試作した.このコイルアンプを使用したデモンストレーションをIEEE Haptics Symposium 2014にて行い,The Finalists for the Best Demo Awardに選出された. また,脳外科シミュレーションソフトウエアと力覚提示装置の統合も平行して進め,手術シミュレータを実現するために必要な基本的なフレームワークを実装した.これにより,生体組織をナイフで切断したときの反力を有限要素法で計算し,その反力を力覚提示装置で提示するといったことが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
8自由度力覚提示装置の概念設計に多く時間を費やしたため,本装置を用いてMR流体・サーボモータの統合制御ソフトウエアの開発を行うことができず,やや遅れている.しかし,既存の2自由度力覚提示装置を活用して統合制御ソフトウエア開発を進めたことで,8自由度力覚提示装置に実装する準備は整っている.
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今後の研究の推進方策 |
IEEE Haptics Symposiumにおいて,本切断感覚提示手法のデモンストレーションを行ったことで,本研究の認知度を上げることができた.今後,より広く認知されるようにするために,小型・軽量なデモンストレーション用の装置も開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度請求額と合わせて平成26年度の研究遂行に使用する予定である.
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