研究概要 |
細胞機能の詳細な解明を目的として,光で機能制御可能なツールによるマイクロ流体チップ内での微細作業及び環境計測・制御システムを構築する.光硬化性樹脂にフォトクロミック材料及び環境指示薬を導入したビーズもしくは任意形状にフォトリソグラフィや自己組織化等のボトムアップ・トップダウンプロセスを用いて成型し,細胞内及びチップ内の局所環境計測・制御を実現する.本年度は,(1)光応答性ゲルツールの連続生産システムの構築,(2)光機能性制御ゲルツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御,について研究を行った. 光機能制御ゲルツールの連続生産システムの構築としては,光機能制御ツールに適した樹脂,フォトクロミック材料,指示薬を検討した.今年度はポリエチレングリコールを主成分とする光硬化性樹脂をマイクロ流路中で数μmから数十μmの微粒子に成形することを行った.また,100nmから1μmのポリスチレン微粒子を用い,フォトクロミック材料のスピロピランを導入し表面電位を制御可能な脂質膜を任意の層数微粒子にコーティングする手法を検討した. 光機能性制御ゲルツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御に関しては,スピロピランの脂質膜への導入量と表面電位の相対評価を行った.また,脂質膜をコートした微粒子を用い,任意の培養細胞への可逆的な付着,脂質膜に導入した膜融合性物質による細胞質内導入と,細胞核への微粒子の導入に成功し,細胞内での光環境刺激のための準備が進んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光機能制御ツールの作製に関ししては,数μmのゲルツールの作製に成功しており,今後サイズを小さくするための検討が進んでいる.またターゲットとなる1μm以下については,市販の微粒子を用いて計測機能は実現できている.加えて細胞内導入用脂質膜のコートについても市販微粒子を用いて基礎実験を実施できている.細胞内への導入についても成功しており,定量的評価を進めていく段階に入っている.
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