研究課題/領域番号 |
24686032
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丸山 央峰 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60377843)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノメカトロニクス |
研究概要 |
細胞機能の詳細な解明を目的として,光で機能制御可能なツールによるマイクロ流体チップ内での微細作業及び環境計測・制御システムを構築する.光硬化性樹脂にフォトクロミック材料及び環境指示薬を導入したビーズもしくは任意形状にフォトリソグラフィや自己組織化等のボトムアップ・トップダウンプロセスを用いて成型し,細胞内及びチップ内の局所環境計測・制御を実現する.この目的を実現するため,(1)光応答性ゲルツールの連続生産システムの構築,(2)光機能性制御ゲルツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御,について研究を行い,光により細胞内外の環境制御・刺激・計測が可能なオンチップ微細作業システムを構築する. (1)光機能制御ゲルツールの大量生産システムの構築 センサ1個を内包し,表面にコートする脂質膜層の数をコントロールした細胞導入用ツールの作製に成功した.センサは複数の蛍光色素で修飾されており,pHや温度いったマルチな環境を計測できる.細胞への付着制御のために,光によりゼータ電位を制御可能な高分子を脂質膜に導入し,生体適合性等を確認した. (2)光機能性制御ゲルツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御 細胞へ低侵襲に選択的かつ高速に導入する手法を開発した.細胞への選択的固定には,照射光の波長によってゼータ電位が変化するフォトクロミック材料を生体膜に導入し,任意にゼータ電位の正負を切り替えて細胞付着性を制御することに成功し,センサの細胞内導入に成功した.細胞核内への導入には,細胞自身が有する活性を用いて確立的にではあるが導入に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光機能制御ツールの作製に関ししては,数µmのゲルツール及び複数の蛍光色素を表面及び内部に修飾したポリスチレンビーズの大量作製に成功しており,用途に応じて選択することが可能になった.加えて細胞内導入用脂質膜のコートについても,フォトクロミック材料を用いて表面電荷を制御することで,任意のセンサを細胞内に導入することに成功しており,細胞の状態変化の計測実験と定量データの取得に成功している.
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今後の研究の推進方策 |
(1)光機能制御ゲルツールの大量生産システムの構築 ・ゲルツール作製システムの実験用チップへの統合によるオンデマンドツール作製プロセスの確立細胞解析用のマイクロ流体チップに計測ツールの作製機構を集積し,必要な場所に必要な機能を有する計測ツールを投入可能なオンデマンドツール作製機構を構築する. (2)光機能性制御ゲルツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御 ・チップ内制御による外部刺激と細胞内制御による内部刺激の同時細胞刺激・応答計測システム構築ツールによる細胞内刺激と同時にマイクロ流体チップ内の環境制御を行い,細胞内外の同時刺激による細胞応答を計測するシステムを構築する.対象となる細胞としては,光合成細菌の一種であるラン藻や動物細胞等,多様な細胞を用いることが可能な計測システムを構築する.
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