研究実績の概要 |
細胞機能の詳細な解明を目的として,光で機能制御可能なツールによるマイクロ流体チップ内での微細作業及び環境計測・制御システムを構築する.光硬化性樹脂にフォトクロミック材料及び環境指示薬を導入したビーズもしくは任意形状にフォトリソグラフィや自己組織化等のボトムアップ・トップダウンプロセスを用いて成型し,細胞内及びチップ内の局所環境計測・制御を実現する.本年度は,①光応答性ゲルツールの連続生産システムの構築,②光機能性制御ゲルツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御,について研究を行った. 光機能制御ゲルツールの連続生産システムの構築としては,光機能制御ツールに適した樹脂,フォトクロミック材料,指示薬を検討した.今年度は,直径1µmのポリスチレン微粒子に対し温度感受性を有するローダミンBを内部に,温度及びpH感受性を有するFITCを表面に修飾し,温度・pHセンサを作製した.FITCは温度にも感受性を有するため,ローダミンBによる温度計測結果を用いてFITCの温度感受性を補正することで,高精度の温度・pH計測を実現した. 光機能性制御ツールを用いたチップ内・細胞内局所環境フィードバック制御に関しては,スピロピランを導入した脂質膜に封入したセンサの高速細胞導入法として,細胞への固定後に光ピンセットを用いてツールを操作し,周期的な振動刺激(周期:1 Hz,振幅: 4 um)を与えることで,30分での80%の確率で細胞内導入に成功した.これは,細胞活性を利用して自然に導入した場合(3時間,成功率40%)に比べて高速かつ高確率での導入が実現できた.
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