研究概要 |
モデル生物である線形動物の生体内部の特定の細胞に対して,ナノマニピュレーション技術を応用し,局所的なナノインジェクションシステムを構築する.これまで,環境制御型電子顕微鏡下ナノマニピュレーションシステムを構築し,細胞が生存した含水状態でナノスケールの高分解能観察し,ナノツールを応用することで単一細胞および生体試料の局所的な計測・操作について取り組んできた. そこで本研究では,環境制御型電子顕微鏡内に光学顕微鏡を組み込んだハイブリッド顕微鏡内を用いたナノインジェクション技術を構築する.これにより,環境制御型電子顕微鏡内によるナノスケールの高分解観察によるナノ操作技術と,光学顕微鏡による生体の内部構造観察・評価を併用することにより,ナノインジェクションにおける3次元的な特定の細胞の解析・操作システムを構築する. このために,ナノインジェクション用ツールを作製し,特定の細胞または特定の細胞周囲に対して低侵襲にナノインジェクションする技術を実現する.また,実際に標識タンパクやインジケータなどの生体試料を線形動物へ局所的にインジェクションするための手法を提案する.これらにより,モデル生物を用いた特定の局所的な細胞解析を行い,生体メカニズムの解明や試薬反応調査などの新たなバイオ・医療技術に貢献する.
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