研究課題/領域番号 |
24686033
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 正博 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80377837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノマニピュレーション / ナノインジェクション / モデル生物 / 細胞解析 / ハイブリッド顕微鏡 |
研究概要 |
モデル生物である線形動物の生体内部の特定の細胞に対して,ナノマニピュレーション技術を応用し,局所的なナノインジェクションシステムを構築する.これまで,環境制御型電子顕微鏡下ナノマニピュレーションシステムを構築し,細胞が生存した含水状態でナノスケールの高分解能観察し,ナノツールを応用することで単一細胞および生体試料の局所的な計測・操作について取り組んできた. そこで本研究では,環境制御型電子顕微鏡内に光学顕微鏡を組み込んだハイブリッド顕微鏡内を用いたナノインジェクション技術を構築する.これにより,環境制御型電子顕微鏡内によるナノスケールの高分解観察によるナノ操作技術と,光学顕微鏡による生体の内部構造観察・評価を併用することにより,ナノインジェクションにおける3次元的な特定の細胞の解析・操作システムを構築する. このために,ナノインジェクション用ツールを作製し,特定の細胞または特定の細胞周囲に対して低侵襲にナノインジェクションする技術を実現する.また,実際に標識タンパクやインジケータなどの生体試料を線形動物へ局所的にインジェクションするための手法を提案する.これらにより,モデル生物を用いた特定の局所的な細胞解析を行い,生体メカニズムの解明や試薬反応調査などの新たなバイオ・医療技術に貢献する. 今年度は,主に,環境制御型電子顕微鏡内での線形動物へのダメージを低減するために,線形動物及び試料台のコーティング手法について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,前年度までの成果に基づいて,蛍光ゲルビーズを用いた線形動物内へのインジェクションに関して,実験的な検証を行うことができた.また,線形動物へのダメージを低減化するために,線形動物及び試料室のコーティング手法を提案し,実験的にその有効性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
蛍光ゲルビーズに代わり,標識タンパクやインジケータなどの生体試料を含むマイクロ・ナノビーズを作製し,線形動物へのナノインジェクション技術へ応用する.また,標識タンパクやインジケータなどの生体試料をインジェクションすることにより,線形動物の特定の細胞の解析や操作に対する有効性について検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
従来のナノマニピュレーションシステム及びハイブリッド顕微鏡関係の装置を用いることにより,消耗品費の節約ができたため,残額が生じた. 当該経費は,次年度経費と共にナノマニピュレータの機能拡張のための機械電子部品などに使用する.
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