研究概要 |
電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極材として優れた性能を示す活性炭を,もみ殻を主原料に安価に製造する技術を実現することが本研究の目的である。本年度は,もみ殻由来マイクロ・メソポーラス活性炭の製造方法の探索,その活性炭の電極材への加工,ならびにその充放電特性およびインピーダンス特性の評価技術の確立を目指した。 水を加えた糖を煮沸してシロップを製造し,予備炭化したもみ殻と混合することで,液相で糖を供給した。その混合物をさらに本炭化して得たもみ殻炭を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することで,もみ殻に天然に含有されるシリカを除去した。その後,炭酸ガス等で賦活を行うことでもみ殻由来のマイクロ・メソポーラス活性炭を製造した。もみ殻炭にシロップを粘結剤として添加し,圧縮成形することで,活性炭の高密度化を狙ったが,顕著な効果は得られなかった。しかし,賦活工程を工夫することで,十分な密度は確保できた。糖の添加量や賦活工程を変化させることで,もみ殻由来活性炭のマイクロ・メソポーラス構造を制御することが可能となった。すなわち,優れた充放電特性を示しうるバイオマス由来活性炭を新規に製造することに成功した。 導電助剤と成形剤を用いて活性炭からEDLC電極を製造し,代表的な有機系電解液であるTEMA・BF_4/PCとセパレータ,さらにその電極で構成される充放電試験用EDLCセルを組み上げた。そして,充放電試験システムおよびインピーダンス計測システムの立ち上げを行い,活性炭試料の充放電特性とインピーダンス特性を評価することが可能になった。電極加工条件および電解液の種類を変化させるなどして,活性炭に最適な運転条件を探索し,より優れた充放電特性を示しうる活性炭を開発できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的の達成のため,平成24年度の実施計画をもみ殻に由来する高密度マイクロ・メソポーラス活性炭の製造技術を開発し,さらに,活性炭を電極材として組み込んだEDLCの充放電特性およびインピーダンス特性の評価方法を確立することにした。活性炭を製造技術の開発にほぼ成功し,また,充放電特性およびインピーダンス特性の評価装置および評価方法もほぼ確立できたことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,活性炭およびEDLC構成の最適化と性能の向上を目指す。種々の物性を有する活性炭に電極加工条件とEDLC構成の最適化を図ることで,充放電特性を大きく向上させる。導電助剤および成形剤の種類と添加量,電解液の種類を変化させ,EDLCの充放電特性とインピーダンス特性を計測する。
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