研究課題
昨年度に製造方法を確立したもみ殻由来マイクロ・メソポーラス活性炭および比較用市販樹脂ベースのマイクロポーラス活性炭を電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極に加工し,充放電特性およびインピーダンス特性を評価した。活性炭の電極加工方法として,市販EDLCの電極加工条件に極めて近いアルミニウム箔に活性炭と導電助剤の混合物を塗工する方法も確立した。その際,バインダと溶媒,導電助剤の組合せによって最適な加工条件の探索する必要があり,その探索に時間を要した。そのため,活性炭の充放電特性およびインピーダンス特性の評価には,ポリテトラフルオロエチレンをバインダとして,導電助剤のアセチレンブラックを添加したものをシート状に成形し,それを円形に打ち抜いて電極として用いる旧来の手法を用いた。細孔構造の異なる複数のもみ殻由来活性炭および市販活性炭に対して,複数のEDLC用電解液を用いた。現在,EDLC用電解液として主流であるプロピレンカーボネート(PC)を溶媒とする1 M トリメチルエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(TEMA・BF4/PC)の他,カチオンサイズが小さい1.5 M アゾニアスピロノナン・テトラフルオロボレート(SBP・BF4/PC)を用いた。さらに,液状を呈する塩のみからなるイオン液体である1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート(EMIm・BF4)も用いた。もみ殻由来活性炭において,メソ孔比率が高くなるに従い,イオン液体であるEMIm・BF4を用いることで高い静電容量を得られることが分かった。一方,マイクロ孔比率が高くなるに従い,また電流密度が大きくなるに従い,PC溶媒系の電解液を用いることで高い静電容量が得られた。マイクロ孔とメソ孔比率を同程度にしたもみ殻由来活性炭は,試験条件によっては,比較用市販活性炭より優れた特性を示した。特に,もみ殻由来活性炭のSBP・BF4/PC電解液への適合性が高く,顕著な効果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
もみ殻に由来するマイクロ・メソポーラス活性炭の製造方法の確立およびその電気二重層キャパシタ用電極への加工方法の確立をおおよそ実現した。また,比較用市販活性炭と同時に充放電特性およびインピーダンス特性を複数の電解液使用の条件の下に実施した。試験条件を最適に選択することによって,もみ殻由来活性炭から市販活性炭より優れた特性を得られることを明らかにしたことから,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
もみ殻由来マイクロ・メソポーラス活性炭の充放電機構および劣化機構の解明を今後行う。電解液の種類や印加電圧が変化した場合において,活性炭の静電容量と内部抵抗の変化を調査する。同時に活性炭自体に化学的および形態的な分析を行い,さらに優れた電気二重層キャパシタ電極用もみ殻由来活性炭を実現するための基礎データを得る。
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Electrochimica Acta
巻: 114 ページ: 617-626
10.1016/j.electacta.2013.10.060