もみ殻活性炭および市販樹脂由来の高性能電極用活性炭に対して,通常の試験条件の他に,電解液の耐電圧を超える厳しい条件での充放電試験を行った。これまでの研究で優れた特性を示したマイクロ孔とメソ孔比率を同程度にしたもみ殻活性炭を使用した。電解液には,プロピレンカーボネートを溶媒とする1 M トリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(TEMA・BF4/PC),1.5 M アゾニアスピロノナン・テトラフルオロボレート(SBP・BF4/PC),およびイオン液体の1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート(EMIm・BF4)を用いた。充放電試験による静電容量の評価の他に,インピーダンス分析を実施した。その際,活性炭の電気的等価回路モデルを構築した上で,インピーダンス分析結果をもとにしたフィッティングシミュレーションを行い,その等価回路上の各素子の特性値を求めた。そして,その特性値をもとにして,活性炭の充放電特性およびその劣化様相について検討した。セル電圧0~2.5 Vさらに電解液の耐電圧を超える0~3.0Vでの充放電試験を行った。その結果,広範な電流密度領域において,市販活性炭より高い静電容量がもみ殻活性炭に現れた。もみ殻活性炭は特に電解液1.5 M SBP・BF4/PCとの適合性が高かった。すなわち,適切な電解液の選択により優れた充放電特性を得られることが分かった。また,インピーダンス分析の結果,セル電圧を増加させると,ヘルムホルツ層に起因する容量は増加し,吸着に起因する容量は低下することが,もみ殻活性炭および市販活性炭共通に見られることが分かった。イオンの拡散に関するインピーダンスについては,両者に顕著な差が現れ,電解液中のバルクから拡散層におけるイオン移動に,活性炭の細孔構造が影響することが示された。一方,0~3.0Vでの充放電では,顕著な静電容量の低下や内部抵抗の増加などの劣化は両活性炭に見られなかった。
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