研究課題/領域番号 |
24686039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長汐 晃輔 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20373441)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | グラフェン / コンタクト抵抗 / 状態密度 / 電界効果トランジスタ |
研究概要 |
状態密度の小さいグラフェンと金属の結合機構は,単原子層故理想的な状態から大きく変調を受けることが予想されるため,理論と実験の両側面から研究が行われてきた.特にグラフェン電子デバイスにおいて,コンタクト領域の金属/グラフェン/SiO2構造におけるグラフェンの状態密度はコンタクト抵抗低減への鍵となるが未だ報告されていない.昨年度は,結合機構を正確に抽出するために,レジストフリープロセスで作製したデバイスにおいて,金属が接触したグラフェンの状態密度を容量-電圧測定によって量子容量として抽出し,Auはグラフェンの電子の分散関係を保持するが,Niは壊すことを実験的に示すことに成功した.今年度は,さらにレジストフリーでTLM形状のデバイスを作成し,コンタクト抵抗率の測定を行った.グラフェンの電子状態を変調するNiでは,期待したほど,コンタクト抵抗が下がらなかったが,Auでは,バックゲートによりフェルミレベルを大きく変調させることが可能であり,50 Ohmum程度のコンタクト抵抗を得ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子容量測定による状態密度の決定,TLMによるコンタクト抵抗率の決定等,順調に研究を進めてきている.
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究から,金属の選択によるコンタクト抵抗の低減には,限界があることが分かった.このため,異なる方針でコンタクト抵抗の低減を目指す.現時点で最も期待できる手法は,コンタクト領域のグラファイト化であることから,コンタクト領域に多層グラファイトを成長させる手法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
4月最初の実験に必要な消耗品等を購入するため 消耗品(高純度ガス等)を購入する予定.
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