研究実績の概要 |
1.(In,Fe)Asをチャンネルとするスピントランジスタの作製および電気的な手法を用いた波動関数制御による磁性変調 (In,Fe)As強磁性半導体をチャンネルとするスピントランジスタの作製に成功した。ゲートとして電解液を用いたサイドゲートを採用し、ゲートリークを抑えただけでなく、チャンネルへの電界効果を増強できた。このスピントランジスタにおいて、(In,Fe)Asチャンネルの電子波動関数の形状を電界効果を用いて制御し、チャンネル中の電荷量がほとんど変わらないにもかかわらずキュリー温度を42%変調することに成功した。本手法では、従来の手法による電気的な磁性変調よりも2~3桁少ないチャンネルの電荷量変化で実現でき、大幅の低消費電力化に成功した。また、(In,Fe)As量子井戸の初期波動関数を設計することによって、磁性の変調仕方を自由に設計できることを実証した。
2.新しいp型強磁性半導体(Ga,Fe)Sbの創製 GaSbナローギャップ半導体にFeを添加することによって、新しいp型強磁性半導体(Ga,Fe)Sbの作製に成功した。これによって、Fe系強磁性半導体のみで、強磁性p-nダイオードやスピンパイポーラトランジスタ、スピン電界効果トランジスタの作製ができるようになった。Fe濃度が13.7%のサンプルにおいて、ナローギャップ強磁性半導体として世界最高キュリー温度140 Kを達成した。さらに、結晶成長の最適化とFe濃度を20%に高めることによって、強磁性半導体として世界最高のキュリー温度230Kを達成した。
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