研究概要 |
本研究では,マルチエージェントシステムのブロードキャスト制御技術の確立を目指している.ブロードキャスト制御とは,エージェント間の情報交換が存在しない環境において,すべてのエージェントに同一のメッセージをブロードキャストすることで,大域的目的を達成させるものである.特に,本課題では,ブロードキャスト制御を,大規模系を制御するための新技術として提案し,その普遍的な理論の構築と応用可能性を実証する研究活動を行っている.これに対し,平成24年度に得た成果は以下のようにまとめられる. (1)平成23年度までに提案されていた移動ロボットに対するブロードキャスト制御のコンセプトに対し,理論的な裏付けを与えた.特に,与えられたタスクが漸近的に達成(確率1での収束性)できる条件を明らかにした(Automatica誌で発表).さらに,ブロードキャストに加え,エージェント間で部分的な通信が行なえる場合の制御手法も確立した(IEEE Conf. on Decision and Controlで発表). (2)エージェントがマルコフ連鎖系でモデル化される場合のブロードキャスト制御手法を確立した(IEEE Conf. on Decision and Controlで発表).さらに,これを電力のリアルタイムプライシングに応用した(制御部門大会で発表). (3)ブロードキャスト制御を最適化の手法と捉え,それをハイブリッド自動車のモデルフリー制御器設計に応用した.この手法によって,従来の制御器に比べて44%の燃費改善が期待できることを示した(制御部門大会で発表).
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次年度の研究費の使用計画 |
実際の交付額が当初申請額から大幅に減額されていたために,実験計画を大幅に変更せざるを得なかった.本年度は,前年度経費を勘案し,新たに実験計画を策定した上で,実施する予定である.
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