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2012 年度 実績報告書

コンクリート中における骨材の体積変化機構の地質・岩石学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 24686052
研究種目

若手研究(A)

研究機関独立行政法人港湾空港技術研究所

研究代表者

川端 雄一郎  独立行政法人港湾空港技術研究所, 構造研究領域, 主任研究官 (10508625)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードコンクリート / 骨材 / 岩石学 / ASR / 骨材収縮
研究概要

本研究では,骨材の体積変化機構を地質・岩石学的に解明し,骨材の体積変化に対する岩石学的評価法を構築することを目的としている。平成24年度は,まず地質・岩石学的観点から多様な骨材を日本各地から採取し,それらの岩石学的評価を行う。岩石学的評価の方法としては,偏光顕微鏡を用いた観察を基本として,骨材の岩石学的特徴を抽出した。また,骨材の体積変化実験として,岩石学的評価を実施した骨材単体もしくはその骨材を用いたモルタル・コンクリートの体積変化に関する実験を開始した。実験は長期間にわたるものであるため,現在も進行中であるが,平成24年度における結果から,骨材の体積変化を支配する岩石学的特徴を一次的に抽出した。骨材収縮を支配する要因として,ある種の鉱物の存在の可能性を指摘できた。これらの鉱物は岩石の成因に密接に関係し,当該骨材が続成作用から変成作用に達した場合には収縮挙動が異なる可能性が明らかになった。しかしながら,収縮量そのものは当該鉱物の量だけでなく,骨材自身のヤング係数や岩石の成因に起因する空隙の存在によって大きく変化する可能性が高いことも示唆されたため,さらにメカニズムを追及するため,平成25年度においてはより詳細なキャラクタリゼーションを実施する予定である。
骨材膨張のうちASRについては,ASR膨張を支配する反応性鉱物を改めて整理した。また,偏光顕微鏡の観察結果から,骨材の岩石学的特徴によって,生成物の膨張圧発現機構が異なることを明らかにした。また,簡易的な予測手法として,加速コンクリートプリズム法を用いて実構造物における実配合コンクリートの簡易なASR膨張の予想法を提案した。本手法は簡易ではあるものの,実環境に暴露されたコンクリートの膨張挙動を概ね再現することが可能であった。今後,岩石学的評価に基づいたモデルの高度化を進める予定である。
また,海洋環境下に暴露したコンクリートに生じた膨張ひび割れ現象に着目し,この劣化メカニズムを偏光顕微鏡によって詳細に調査した。その結果,海洋環境におけるコンクリートの膨張ひび割れは骨材の影響よりもセメントペーストの腐食による影響が大きい可能性を示した。偏光顕微鏡を用いて観察した結果,ひび割れの内部に多層構造を持って沈殿した非晶質物質が見られ,これはセメントペースト由来のものと考えられたが,骨材との化学的相互作用によって生成した可能性も否定できない。平成25年度において化学分析によって生成物の詳細分析を行い,その膨張機構を解明する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当所の目標をおおむね順調に達成している。骨材収縮については,平成24年度の目標とした骨材の体積変化を支配する岩石学的特徴の一次抽出まで実施した。また,骨材膨張であるASRについては,加速コンクリートプリズム法を用いて実構造物における実配合コンクリートの簡易なASR膨張の予想法を提案することができ,計画以上に進展した。

今後の研究の推進方策

平成24年度は計画通り順調に進んだため,今後の研究の推進も平成24年度と同様に進める予定である。また,研究協力者と綿密な連携を図りながら,研究を円滑に遂行する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 製鋼スラグ混合土の配合・混合条件がその力学特性に与える影響について2012

    • 著者名/発表者名
      平井壮, 水谷崇亮, 菊池喜昭, 川端雄一郎
    • 雑誌名

      港湾空港技術研究所報告

      巻: 51 ページ: 77-106

  • [雑誌論文] Fracture prediction in reinforced concrete using mechanoluminescent sensor2012

    • 著者名/発表者名
      Chenshu LI, Chao-Nan XU, Daisuke ONO, Naohiro UENO and Yuichiro KAWABATA
    • 雑誌名

      Journal of Japanese Society for Experimental Mechanics

      巻: 12 ページ: S205-s208

    • DOI

      10.11395/jjsem.12.s205

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of fall-field non-contact measurement technique to clarification of deterioration mechanism on constructional material2012

    • 著者名/発表者名
      H. Goda, M. Hibino, Y. Kawabata, M. Uchino and H. Matsuda
    • 雑誌名

      Bridge Maintenance, Safety, Management, Resilience and Sustainability

      ページ: 2182-2189

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アルカリシリカ反応を生じた構造物の診断に対する技術者の意識調査2012

    • 著者名/発表者名
      川端雄一郎, 山田一夫, 古賀裕久, 久保善司
    • 雑誌名

      コンクリート工学

      巻: 50 ページ: 593-600

    • DOI

      10.3151/coj.50.593

  • [雑誌論文] Enhanced long-term resistance of concrete with marine sessile organisms to chloride ion penetration2012

    • 著者名/発表者名
      Yuichiro Kawabata, Ema Kato and Mitsuyasu Iwanami
    • 雑誌名

      Journal of Advanced Concrete Technology

      巻: 10 ページ: 151-159

    • DOI

      10.3151/jact.10.151

    • 査読あり
  • [学会発表] 応力発光センサによる暗視野下におけるコンクリートのひび割れ検出について2012

    • 著者名/発表者名
      川端雄一郎
    • 学会等名
      日本材料学会コンクリート工事用樹脂部門委員会
    • 発表場所
      日本材料学会
    • 年月日
      2012-09-12
  • [学会発表] 海洋環境に暴露されたコンクリートの自然治癒現象2012

    • 著者名/発表者名
      川端雄一郎
    • 学会等名
      日本学術振興会建設材料第76委員会第407回会議
    • 発表場所
      学士会館
    • 年月日
      2012-07-20

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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