研究課題/領域番号 |
24686053
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
丸山 喜久 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70397024)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 地盤増幅特性 / 地震応答スペクトル / 地点補正項 / 伝達関数 / 距離減衰式 |
研究概要 |
前年度の検討結果をもとに,地震応答スペクトルの距離減衰式における地点補正項を利用して地盤増幅特性を評価することを目的とし,2011年東北地方太平洋沖地震を含む32地震の観測記録を用いて断層距離,マグニチュード,震源深さを説明変数とする地震応答スペクトルの距離減衰式を構築した.多数の地震記録を用いることによって,個々の地震の震源特性に依存しない普遍性の高い結果が得られることを期待した. 地点補正項によって推定される地盤増幅特性を,基盤強震観測網(KiK-net)の地中-地表間の地震動伝達関数と比較した.地点補正項は表層地盤の増幅における周期特性を表す一つの指標として有用なものと判断できる結果が得られた.さらに,地点補正項と深さ30mまでの平均S波速度(AVS30)の関係式を周期ごとに評価した.米国のNational Earthquake Hazards Reduction Programが提唱する関係式などと比較したところ,AVS30を説明変数とした本研究の増幅率の予測値は,既往研究と調和的な結果となった.地点補正項とAVS30の関係式は妥当なものと考えられたため,日本全国を対象として周期ごとの地盤増幅度を推定した. 東北地方太平洋沖地震の際の首都圏地震観測網(MeSO-net)で観測された地中の地震観測記録と,東京ガス(株)が運用する超高密度地震防災システム(SUPREME)での地表面地震記録を用いて観測記録にもとづく地盤増幅特性を推定し,その結果を1次元地盤モデルを用いた数値解析によって検証した.今後は,本研究で推定した周期ごとの地盤増幅率と比較を行い,推定精度の検証を行う.さらに,東北地方太平洋沖地震の際の宮城県仙台市の水道管被害データを整理し,基礎的な分析を行った.平成26年度に,地震被害データと推定される周期ごとの地震動強さの相関性を分析する際に使用する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに最終目標に向かって順調に進捗しているため.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度に関しては,当初予定通りに研究を行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に,東北地方太平洋沖地震の埋設管被害データと兵庫県南部地震の建物被害データを入手できたが,すべて汎用デジタルデータであったため,研究当初見込んでいたデータ変換に要する費用が不要となり,当該助成金が生じた. 今後,ほかの地震被害データが収集できた場合はデータ整理費として,そうでない場合は研究遂行のための設備備品費,消耗品費や旅費として使用する.
|