本研究の目的は,地盤の増幅特性を周期ごとに評価し,地盤増幅率マップを構築することである.東北地方太平洋沖地震を含む32地震の観測記録をもとに応答スペクトルの距離減衰式を構築した.距離減衰式の地点補正項と深さ30mまでの平均S波速度の関係式を周期ごとに評価し,日本全国を対象として周期ごとの地盤増幅度を推定した.さらに,地震動の周期特性と過去の地震における構造物被害の関係性を検討した.東北地方太平洋沖地震の際の宮城県仙台市における上水道管路の被害については,丘陵を平坦化した造成地にとくに被害が集中していた.地震動の周期特性と被害率の相関性はやや不明瞭な点もあり今後の検討課題である.
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