降雨時および降雨後の表層滑り型崩壊を対象とした現地計測技術,数値解析手法,斜面安定度評価システムの開発およびシステムの実現可能性の検討を行ってきた。本研究では,これまでの研究成果に加え,システムの精度向上には地盤調査(測量,ボーリング試験,標準貫入試験,サウンディング試験,室内土槽試験など)が重要な役割を担っていると考えられることから,地盤調査,現地斜面観測技術,数値解析からなる降雨時・降雨後の斜面安定度評価システムの確立を行っている。 平成26年度については,以下の内容について取り組んだ。 (1)現地斜面観測技術の一つの地表面からの蒸発に関して,土の水分状態と蒸発効率の関係について,昨年度確立した室内試験方法をもとに,供試体の状態の違い(間隙比)に伴う蒸発効率の水分依存性や試験結果の温度補正方法について,検討することができた。 (2)数値解析に用いる土質データとして,水分特性曲線や不飽和土のせん断強度が挙げられるが,本年度は,短期間で水分特性曲線をより安定的に得るために保水性試験機の一部を改良し,実験を行った。また,不飽和一面せん断試験を実施し,不飽和砂質土のせん断強度特性のデータを蓄積することができた。 (3)斜面安定解析手法として,不飽和浸透を考慮した斜面安定解析手法の改良を行い,より妥当な結果を得ることができた。 (4)これまでの研究成果および既往の斜面崩壊予測に関する研究成果についてまとめ,本研究の課題および展望について検討した。
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