研究課題
本研究は,台風予測に特化した高効率で高精度な台風災害外力モデリングシステムを新たに開発し,可能最大級台風の上陸を想定した日本全国の台風災害ポテンシャルを評価することを目的としている.昨年度までに,構築された台風災害外力モデリングシステムを用いることで2004年に発生した全29事例の台風を対象とした再現実験を完了し,詳細な精度検証によりその高精度性が実証されている.今年度は,更に,高潮モデルをも結合することにより,フィリピン中部を襲った台風1330号(台風ハイエン)の台風強度のみならずそれによってもたらされた高潮をも高精度に再現できることを明らかにした.また,この台風災害外力モデリングシステムを用いることで,CMIP3が提供する全球気候モデルHadCM3(2090年代)の温暖化差分を入力条件とすることで擬似温暖化実験を実施した.複数の温暖化シナリオ(B1,A1BおよびA2)に対して擬似温暖化実験を行った結果,いずれの温暖化シナリオであっても現在気候に比べて全体的に最盛期の中心気圧をより低く表現し,平均的に見れば温暖化が加速的に進行するシナリオ(B1よりA2)においてより台風強度は増大することが明らかとなった.また,2004年全29事例の台風に対して「猛烈な台風」「強い台風」「弱い台風」の3 種類に区分することで,それぞれに対して平均的な温暖化影響量を評価した.「強い台風」に関しては,B1よりA2の方でより強化される傾向を示した.しかし,「猛烈な台風」に関しては,B1よりA2の方で最盛期の強度発達がより抑制されることが明らかとなった.21世紀末においては,海水面温度はA2でより上昇する一方,対流圏界面温度もA2でより一層大きく上昇することから,Maximum Potential Intensity(MPI)の理論に基づけば,B1よりA2で可能最大強度がより弱まることになると結論づけられた.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
国内大学の初となる気象予報業務許可取得.
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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