研究課題/領域番号 |
24686080
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 竜也 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60374584)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 表面・界面制御 / アノード酸化 |
研究概要 |
本研究においては、自己組織化電気化学プロセスと種々の表面処理法を融合することにより、直径10~500nmの極微小レンズを高密度に配列したナノレンズアレイ作製法の確立を目的とする。 平成24年度においては、上述のナノレンズアレイを作製するためのファーストステップとして、アノード酸化による高密度・自己組織化ナノ曲面構造の形成を試みた。高純度アルミニウム試料を硫酸、しゅう酸、りん酸およびりんご酸などの各種酸性水溶液中に浸漬してアノード酸化を行うと、それぞれの水溶液の化成電圧、すなわちセルサイズに対応したナノポーラスアルミナを形成できた。硫酸、しゅう酸およびりん酸は比較的簡便に高規則性を持つナノポーラスアルミナが生成したが、りんご酸の場合には、初期に結晶粒界からポーラス層の成長が長じたのち、長時間のアノード酸化により粒内アノード酸化へと移行した。これは、結晶粒界における不整合界面の生成および不純物の存在によるものと考えられた。アノード酸化ののち、試料をクロム酸/りん酸混合水溶液中に浸漬してアノード酸化皮膜を溶解すると、アルミニウム素地上に高密度ナノディンプル構造が生成した。ナノディンプル構造の外観および規則性を原子間力顕微鏡により検討すると、硫酸、しゅう酸およびりん酸では良好であったが、りんご酸の場合にはサイズの不規則性や突起部の形成が確認された。このようなナノディンプル形成試料を「型」として、種々のアノード酸化を行うことにより、高い規則性を有するナノレンズアレイが作製できると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己組織化アノード酸化皮膜化成法の詳細を検討し、ナノポーラスアルミナおよびナノディンプル構造の形成に成功しており、おおむね研究計画どおり進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ナノポーラスアルミナのより精緻な構造形成、バリヤー型アノード酸化を融合したレンズ上構造の構築およびレンズ薄膜分離プロセスの探索について検討を深めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、比較的順調に研究が進展したため、次年度への繰越金が若干生じた。25年度は、種々の表面処理プロセスを考察するため、化学薬品等消耗品の使用量の増大が予想されるため、それらに充当する予定である。
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