研究課題/領域番号 |
24686081
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小原 良和 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90520875)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非破壊検査 / 非線形超音波 / 閉じたき裂 / 局所冷却 / フェーズドアレイ |
研究概要 |
東日本大震災の福島第一原発事故以降、経年劣化インフラの安全性に対する国民の関心は非常に高まっているが、安全・安心な社会の構築には構造物中の欠陥の高精度非破壊評価法の確立が急務である。しかし、構造物中のき裂が開いている場合は超音波で計測できるが、圧縮残留応力や界面酸化により閉じたき裂では超音波が透過してしまうため検出できない。そこで本研究では、応募者が独自に開発してきた測定法を飛躍的に発展させることで、世界に先駆けて“局所冷却との融合による閉じたき裂の3次元非線形超音波映像法”を創出することを目的とする。本年度は、下記3項目を実施した。 [1]2次元マトリクスアレイ探触子の試作:昨年度の基本設計に基づき、1-3コンポジットを圧電材料として、縦横16素子ずつ(各々0.5mmピッチ)の2次元アレイ探触子を試作した。 [2]熱応力推定法法の検討:昨年度発見した広域加熱と局所冷却を組み合わせた、従来法を上回る熱応力負荷方法をglobal preheating and local cooling(GPLC)と名付けた。GPLCでは負荷する熱応力の大きさの制御が最も重要であるが、その推定には試験片内部の温度分布が必要である。しかし、IRカメラでは、試験片表面の温度分布しか計測できない。そこで、内部の温度分布を、第3種の境界条件で近似した解析解により推定し、それに基づいて、曲げを考慮した熱応力の推定法を構築した。これにより、GPLCの最適設定の検討のアルゴリズムの準備ができた。 [3]閉じたき裂試験片の準備:これまで、閉じた疲労き裂では主にアルミニウム合金A7075を用いてきたが、発電プラント等ではSUS316L等のステンレス鋼も多数使用されているため、ステンレス材料への閉じたき裂の導入も開始した。特に、閉じたき裂の作製法の高度化に繋がる可能性のある疲労条件制御方法に関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元アレイ探触子の試作、熱応力推定方法の構築、閉じたき裂試験片作製の準備も、当初の予定通り進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
[1]3次元映像化アルゴリズムの構築 [2]閉じたき裂試験片の作製 [3]き裂閉口応力推定方法の検討 [4]閉じたき裂試験体での実証試験
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度購入した超音波マトリクスアレイプローブが購入時の割引により当初の予定より安価に購入できたため、当該助成金が生じた。 次年度は、当該助成金を試作予定の3次元映像装置の高性能化へ充てるとともに、当初の予定通り、試験片作製、研究課題に関する情報収集や発表のための出張旅費等に使用することを計画している。
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