研究概要 |
1.焼結助剤を用いた炭化物およびホウ化物系UHTCの作製 当該年度前期においては,炭化物系UHTCであるZrCとホウ化物系UHTCであるZrB2を基剤とする超高温耐熱セラミックスを作製した.各UHTCの原料粉末に焼結助剤であるMoSi2を所定量添加し,ZrO2製ミリングメディアを用いたホールミルによって湿式粉砕混合を施した.その後,得られたスラリーをロータリーエバポレータを用いて十分に乾燥し,粒度調整を行った.さらに,得られた原料粉末を一軸加圧成形しCIP(冷間静水圧)成形した.その後,成形体を雰囲気焼結炉(1950℃,Arガス雰囲気下)において緻密化した。その結果,いずれのUHTCセラミックスも理論密度に比較して98%程度の相対密度を有する緻密な焼結体を得ることに成功した. 2.炭化物系UHTCに対する溶融合金の濡れ性および'界面反応評価 当該年度前期において作製した炭化物系UHTCセラミックスの溶融金属に対する濡れ性および界面反応を調査した.回転定盤式研磨装置を用いて炭化物系UHTCセラミックスの表面に鏡面研磨を施した後に,静滴法濡れ性評価炉(最高到達温度2000℃)に設置し,昇温過程において溶融NiもしくはNi-Nb系合金のUHTC基板に対する接触角を測定した.この結果,溶融NiはUHTC基板上を濡れ広がり低い接触角を示したのに比較して,溶融Ni-Nb合金対するUHTCセラミックスの濡れ性は悪く,接触角は非常大きいことが明らかとなった.さらに,急冷したサンプルに対して,断面のEPMAおよびFESEM-EDS観察およびXRD測定をすることによって界面反応を調査した.その結果,金属/セラミックス界面においては,焼結助剤であるMoSi2を起因由来とするSi基の金属間化合物が確認された.また,濡れ性の悪かった溶融Ni-Nb合金との界面においてはZrO2等の厚い酸化物層が形成されていることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
得られた炭化物系もしくはホウ化物系UHTCブロックの研磨面に,接合用金属を数ミクロンの厚みに成膜し,ホットプレスによって接合する.ここで,今回考えているSHS反応は以下の反応式MIV+CorB(in UHTC)→MIVCorB2(=UHTC)にしたがて進むのでロウ付け金属は接合界面近傍のUHTC中の炭素もしくはホウ素を奪うため,接合層は化学量論組成から離れた炭化物もしくはホウ化物を形成すると考えられる.この問題は,成膜の際にCもしくはBを金属と層状〓レイヤーを形成することによって,回避することが可能であると考えられる.
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