研究課題/領域番号 |
24686085
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
齊藤 敬高 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80432855)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超高温セラミックス / 接合 / 界面反応 / 曲げ強度 |
研究概要 |
当該年度は前年度に行った研究結果を勘案して,ホウ化物系UHTCの高反応性金属を用いた接合および接合体の機械的特性の評価を行った.前年度の研究で得られたホウ化物系UHTCブロックの研磨面に,TiもしくはZr単独,TiおよびZrの組み合わせ,もしくはZrおよびBの組み合わせの接合層を前年度に導入したEB蒸着装置を用いて数ミクロンの厚みに成膜した.ここで,ZrおよびTiについては接合層として金属箔も一部用いた. ホットプレスを用いて1300~1500℃の温度範囲において接合を行った結果,TiもしくはZrを接合層として用いた場合,良好な接合体が得ることができた.ここで,接合界面の微構造観察からTiを接合層として用いた場合においては,接合界面近傍に微細なホウ化物の析出が多数見られ接合温度の上昇とともにホウ化物の結晶成長が確認された.加えて,接合温度における金属融体の生成が示唆された.また,接合界面観察からZrを接合層として用いた場合においては,接合界面近傍にホウ化物等の析出や液相の生成は見られず,固相拡散による接合が行われていたと推察された.得られた接合体から試験片を放電加工によって切り出し,試験片の引張・圧縮面に鏡面研磨を施した後に,4点曲げ試験を行った結果,室温環境下においては上記のいずれの接合体においてもモノリシックな超高温セラミックスと同等の曲げ強度を有することが明らかとなった.ホットプレスを用いて1500℃においてZrおよびBの組合せを接合層として接合を行った結果,これについても良好な接合体が得られたことがわかった. 当該年度において,日本学術振興会の外国人招へい研究者として研究代表者の研究グループに4ヶ月間滞在したUC Berkeley, Andreas M. Glaeser教授とは本研究に関してセラミックスと金属界面の反応における平衡論・速度論的議論を行うことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の予定通りに高反応性金属を用いた超高温セラミックスの接合体を作製することに成功し,室温における強度評価も行うことができた.その結果,接合体の強度がモノリシックな超高温セラミックスと同等であった.以上より,当該年度までの進捗として「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後この超高温セラミックスの接合を行う上で進むべき方向性として金属との高い反応性を利用して強固な接合体を得る手法が考えられる.実際に本研究期間の後半においては,ホウ化物系超高温セラミックスを液相拡散接合に用いるような金属の多層膜ではなく,単一の高反応性金属層を用いて接合を行った.その結果は液相拡散接合に比較して非常に優れており,室温における接合強度は十分なものであった.今後はこの界面反応をさらに利用し,高温環境下においても優れた接合特性を有する接合プロセスを開発する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の予定よりも小さな超高温セラミックスの焼結体を用いて,研究を進めることができたため,セラミックス原料粉末等の消耗品に関する支出が小さかった. 本研究を遂行する上で必要な備品等はこれまでの2年間において揃えることができたため,セラミックス原料粉末,接合層に用いる高純度金属,雰囲気ガス,および切削消耗品等を中心に支出を行う予定である.
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