研究課題/領域番号 |
24686104
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
秋山 毅志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (80370138)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 干渉計測 / 非線形素子 / 2倍高調波 / 光弾性変調器 / Nd:YAGレーザー / 電気光学変調器 |
研究概要 |
機械振動を自己補正するディスパーション干渉計では、プローブ光はレーザー基本波と2倍高調波の混合波である。一般的に干渉計測に用いる連続発振レーザーでは、エネルギー密度が低いため、2倍高調波の発生効率が大きくない。平成24年度では、設計した2倍高調波発生のための光学系で計測に十分な2倍高調波を発生できたものの、発生効率は理論計算の1/3程度に留まったため、平成25年度には原因究明を行った。その結果、非線形光学素子内でのビーム径と発散角が最適でなかったことが分かり、集光光学系の改良を行った。 本計画で提案している位相変調型ディスパーション干渉計では、位相変調器が時間分解能の上限値を決定する。光弾性変調器(Photoelastic modulator: PEM)は、研究代表者のこれまでの他の波長域での開発で実績があり、第一候補と考え仕様を決定した。一方、光弾性変調器は変調周波数に上限があり、密度モニターとして必要とされる時間分解能は満たすものの、プラズマ中の高周波揺動を検出し、物理研究に寄与するには不十分である。そのため、変調周波数をより高くできる変調器を検討し、電気光学変調器(Electro-Optic Modulator: EOM)を用いることにし、変調信号用高圧アンプ等も含めた仕様を決定した。EOMは変調周波数の上限は1 MHzであるため、これを使用することによって既存のヘテロダイン干渉計と同程度の時間分解能が得られることが分かった。 光源レーザーの短波長化に伴い、波面乱れによる計測精度劣化を考慮し、波面乱れを実測する波面センサー、及びそれを補正する可変形鏡による補償光学系を検討し、ディスパーション干渉計に追加可能な光学系の設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した位相変調器の性能評価については若干の遅れがあるが、これは当初平成25年度計画のオプションとし、本格的な検討は26年度以降と考えていた波面乱れの影響を補正する光学系の検討を優先させたためである。位相変調器の性能評価については、既に申請者の以前の科学研究費補助金若手研究(B)にて原理検証を済ませている。本計画の肝となる「短波長化」を実現するためには、それによって計測精度が劣化する要因を小さくすることが必要であり、その原理検証はもちろん、概念設計も行われていないことから、緊急度は波面補正の検討・設計の方が高いと考えなおした。そのため、両者を相殺して、全体では計画は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
EOMによる位相変調を行った場合、PEMの場合と比較して密度分解能が劣化しないか検証する。また、EOMへ入力する変調信号のノイズが、どの程度計測に影響するかを定量的に調べる。 研究計画の順序を変更して設計した波面補償光学系により、計測精度を改善できるか実証する。
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