研究課題
本研究は、放射性ストロンチウムのような純ベータ核種が放射性セシウムなどの他のガンマ線放出核種と混在状態にある場合に、化学分離を用いずに絶対測定する方法を開発することを目的とした。その測定原理は、ベータ線検出器とガンマ線検出器の組み合わせで全ベータ線放出率を絶対測定し、ガンマ線検出器でガンマ線放出核種の放射能を測定し、全ベータ線放出率からガンマ線放出核種によるベータ線放出率を差し引くことにより、純ベータ線核種を測定する。本測定法に用いる測定装置は、プラスチックシンチレーション検出器(PLS検出器)をベータ線検出器とし、タリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレータをガンマ線検出器として構成した。平成25年度には、PLS検出器の使用するプラスチックシンチレータのサイズを小さくし光電子増倍管をR9880U-210(浜松ホトニクス)に変更することで、ベータ線計数効率を改善できることを見出した。また、装置設計のためのモンテカルロシミュレーションを実施した。この独自にベータ線・ガンマ線の同時放出を模擬するプログラムを作成し、ベータ線とガンマ線を輸送するシミュレーションコードに組み込んだ。このシミュレーションにより得られた結果に対して、ベータ線とガンマ線の測定パラメータを変化させて、それぞれの検出器に求められる能力の検討を実施した。その結果、装置設計に前述のベータ線計数効率の改善を優先し、ガンマ線検出器はそれに併せて検討する方針で、測定精度・感度を良くできることが示された。そこで、R9880U-210を用いたベータ線検出器とサイドホール型検出器を用いたガンマ線検出器の採用を決定した。新たに作製した装置で、実際に放射性ストロンチウムの測定を実施し、測定不確かさが低減され、放射性セシウムに対して決まる放射性ストロンチウムの測定下限比が小さくなったことが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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