研究課題/領域番号 |
24687004
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
諸野 祐樹 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, サブリーダー (30421845)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海底下生命圏 / 安定同位体 / 代謝活性 / 二次イオン質量分析計 / NanoSIMS |
研究概要 |
平成24年度には、これまで取得、培養済みの試料を含め、新しく取得した試料の培養を含めた多様な海底下環境試料の確保、および目的を実現する為に必要な要素技術の確立を実際の試料も用いながら遂行した。平成24年7月~9月に渡って統合国際海洋掘削計画(IODP)第337次航海に乗船研究者として参画し、科学掘削としては世界最深部となる海底下2460mからの試料を含む複数の試料を取得した。これらについて、9つの異なる深度から得られた試料に安定同位体を添加し、約900本のバイアルで培養を開始した。本年度内では2か月の培養の後に経時サンプルの第一段目を終了し、第二段目の培養を継続中である。試料取得後に実施した細胞数カウントから、極めて少数の細胞しか存在せず、活性が低いことが予想されるため、二段階目は1年程度の長期培養を予定している。 また、NanoSIMSによる試料分析では、固定倍率のCCDカメラによってのみ分析位置の探索を行うため、特に微生物数の少ない試料について分析を行うと、分析位置に細胞が存在しないという現象が頻発する。 従って、密度勾配を利用して海底下試料中から効率的に細胞を濃縮する手法の開発、および濃縮試料から微生物細胞のみを選択的にソーティングする手法をそれぞれ開発した。これにより、例え試料中に少数の細胞しか存在しなかったとしても数百マイクロメートルの極小領域に多数の細胞を集めることが可能となり、分析の効率が劇的に向上した。さらに、試料位置の特定のため、紫外レーザーで試料上にミクロンレベルのマーキングを施すことにも成功し、これまで試料位置の特定に要していた時間もほぼゼロにすることが出来た。また、金ナノ粒子による微生物種特定実験についても手法開発が進み、標準微生物において高感度のシグナル検出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画として設定した目的は順調に進行している。新しい試料の取得、および分析の標準化にも成功し、極度に少ない細胞数の試料でも分析が可能になったことで、これまで難しかった分析も容易に行うことが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は組み立てた要素技術を用いて環境試料中の微生物分析を推進していく。一方で、分析試料の調製方法など、将来的な視野に立って手法の修正を適宜行い、より高精度かつ効率的な分析を可能とするように努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
環境試料中の微生物分析推進のため、分析に関する消耗品、および各種試薬の購入を行う。また、良好な分析実施のため、導電性コーティング装置などの購入を検討する。
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