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2012 年度 実績報告書

寄生性線虫の感染によって誘導される植物細胞の細胞質分裂・核分裂脱制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 24687005
研究機関北海道大学

研究代表者

GOTO DEREK  北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40419205)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード植物 / 寄生性線虫 / 核分裂 / BY-2細胞 / 植物細胞分化
研究概要

我々はタバコBY-2細胞とマイクロインジェクションを用いて感染初期の過程を再現した新奇のRKNエフェクターアッセイ法の開発に成功している。このアッセイによってRKN分泌物が植物細胞を操作していること、また分泌物は植物細胞の中に直接注入される必要があることを示した。これはこの未知のエフェクターが細胞外で膜受容体などを通して機能するのではなく、宿主細胞の細胞質内で機能することを示唆している。一方、エフェクターの同定には分泌物を画分してその活1生を確認する必要があるが、このアッセイ法は非常に繊細で試行回数を増やすのが困難であり、現段階では望ましいサンプル数や再現性が得られていない。上記のアッセイと同時に、分泌物自体の分析も行なった。放射性同位体を用いて分泌物を解析した結果、非常に特異的な種類のRNAを発見した。次世代シークエンスによって得た320877種のリードのうち、バイオインフォマティクスを用いてフィルタリングすることで90ntからなる一つのRNAを見出した。配列と予想される構造から、このRNAは植物細胞において何らかの制御機能を持ち得ると考えられた。このRNAはRKNエフェクターの有力な候補であり、本研究計画の重点はこのRNAの機能解析に移行しつつある。また、寄生における非コードRNAの役割を理解するために、RKNの中のmicroRNAを解析した。先行研究で得られていたmicroRNA候補の配列に対して、複数の異なる種の線虫を用いてノーザンプロット解析を行った。その結果、寄生性線虫特異的なmicroRNAを16種類の発見した。そのうち5種類は三種の植物寄生性線虫から検出されたが、4種類はRKNとネグサレセンチュウからのみ検出された。さらに6種類はRKNからのみ検出され、これらのmicroRNAの標的遺伝子が寄生の決定に関わっている可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分泌物の直接注入実験は繰り返し行われて活性は確認できているものの、この実験は熟練を要する繊細な操作を要求するので、試行回数を増やすのが困難であり、現段階では望ましいサンプル数や再現性が得られていない。しかし独立に進行していた線虫分泌物自体の分析がうまく進行し、分泌物中に存在する特異的な種類のRNAを同定することができた。よって、このRNAに重点をおいた生理機能解析を開始することができている。

今後の研究の推進方策

この研究計画において現在我々は線虫分泌物の中からエフェクター分子の推定候補を得ることができ、そのエフェクター候補であるRNAの配列も決定することができた。今後はこのRNAの機能を異なる実験系を用いた誘導的過剰発現によって解析する。これらの実験によってこの推定エフェクター分子が植物細胞に対してどのような影響を持っているか、線虫感染のどの段階に作用するかを明らかにすることができると期待される。

次年度の研究費の使用計画

分泌物の直接注入実験の必要な試薬「Alexa Fluor 488 Dextran, 10000 MW」に使います。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] A novel system to investigate parasitic nematode secretion activity in plant cells2012

    • 著者名/発表者名
      GOTO DEREK
    • 学会等名
      Japan-Australia Symposium on Plant Sciences for Agriculture
    • 発表場所
      Murdoch University (Australia)
    • 年月日
      20121211-20121212

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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