植物やラン藻は、地球上の多くの生命が生きていく上で必要な分子状酸素を形成する。これは、太陽の光エネルギーを光化学系II(PSII)が吸収して電子伝達反応を行うに伴って酸素発生中心であるMn4CaO5クラスターで水を分解することによって行われる。PSIIの酸素発生反応には塩素イオンが寄与し、PSII内の塩素イオンは同族元素であるヨウ素イオンと置換可能であるが、ヨウ素イオンに置換するとPSIIは酸素発生反応を阻害され、この阻害機構の詳細は不明であった。本研究により、ヨウ素イオン置換によって起こるPSII内の構造変化を明らかにし、ヨウ素イオンがMn4CaO5クラスターを還元していることを突き止めた。
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