研究課題
バイオイメージングの発展により、組織や細胞におけるオルガネラの動態を容易に観察できるようになった。その一方で、透過電子顕微鏡(TEM)観察がほとんど行われなくなったため、オルガネラの超微形態は不明瞭な状態である。本研究では、モデル植物を用いて、1、試料を瞬時に固定する高圧凍結技法を改良・高度化し、動的オルガネラを含む高解像度で広域のTEM像を撮影し電算機上に再構築する基盤技術と、2、マルチスケール性を維持した高解像度TEM像上の細胞内構造物に位置情報を自動記録する基盤技術を開発し、組織・細胞におけるオルガネラの超微形態と分布、関連情報を閲覧可能なTEM像のマッピングシステムを構築する。そして、これら基盤技術を用いて、3、発生過程と環境刺激前後の細胞とオルガネラの超微形態を明らかにし、分化発生機構を解明する。今年度は3を中心に技術開発を行った。構築した広域TEM像の自動撮影システムを用いて、シロイヌナズナの根端など様々な器官及び植物培養細胞のギガピクセルクラスの広域TEM像を取得した。この広域TEMデータを用いて情報工学の専門家とともに自動認識ソフトウェアの開発し、論文にまとめ国際雑誌に発表した。さらに、タバコ培養細胞の増殖期・定常状態期の広域TEM像を用いて、定常状態期にはミトコンドリアとペルオキシソームの数は減少するがプラスチドの数は減少しないことがわかり、学会発表を行うとともに論文にまとめ国際雑誌に掲載された。また、シロイヌナズナ根端における小胞体から発生するER bodyに焦点をあて解析し、学会発表を行った。さらに、様々な植物組織の広域TEM像を拡大縮小してWebブラウザ上に標示できるウェブサイト”電顕アトラス”を構築し、共同研究者に公開した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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