研究課題
本研究では、光感覚入力から行動出力に至る神経回路について、その全貌を細胞レベル、遺伝子レベルで解明することを目的とし、以下の4つの実験を行う。1 光感覚入力から行動出力に至るまでの神経回路の解析、2 光感覚入力に応答するニューロンの活動イメージング、3 光感覚入力に応答するニューロンの機能解析、4 感覚入力に対して行動異常を示す変異体の単離とその原因遺伝子の解析。光受容細胞に特異的に発現する遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域の解析から、光受容細胞に特異的なエンハンサー領域の同定に成功した。光受容細胞の細胞系譜解析の結果から、眼点光受容細胞は右側の割球から、眼点外光受容細胞は左側の割球から分化することが明らかとなっている。そこで、2細胞期の右側の割球に光受容細胞特異的なエンハンサー領域と蛍光タンパク質を融合したコンストラクトをインジェクションしたところ、眼点光受容細胞に特異的に蛍光タンパク質が発現した。一方で、2細胞期の左側の割球に同じコンストラクトをインジェクションしたところ、眼点外光受容細胞に特異的に蛍光タンパク質を発現させることに成功した。この実験系を用いて、眼点光受容細胞、眼点外光受容細胞に特異的に経シナプストレーサを発現させることにより、それぞれの光受容細胞を起点とする神経回路を可視化することに成功した。その結果、眼点光受容細胞は運動神経回路へと入力することを明らかにした。さらに、それぞれの光受容細胞が入力する細胞を同定し、それぞれ異なる細胞に入力することを明らかにした。光受容細胞が入力する細胞において、ChR2を発現させ、その活動を活性化させたところ、遊泳運動が引き起されることを明らかにした。この結果は、神経回路解析の結果と一致しており、ホヤ幼生の光に対する応答メカニズムとその神経回路機構について細胞レベルでの知見を得ることに成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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