研究課題
ユビキチン(Ub)は酵母からヒトまで広く保存されたタンパク質であり、鎖状につながった複数個のUb(Ub鎖)が様々な分子シグナリングにおいて重要であることが明らかになってきている。Ub鎖はUbのLys残基、もしくはN末端Met1残基のアミノ基を用いて形成されるが、どの残基を用いて形成されるかによってUb鎖の構造と機能は大きく異なる。細胞内のエフェクターがどのようにこのUb鎖を見分けているのかは近年大きな注目を集めている。近年、HOIP、HOIL-1L、SHARPINからなるユビキチンリガーゼ複合体「LUBAC」が、UbのN末端を介する直鎖状ポリUb鎖を生成することが明らかとなった。LUBACはTNF-αなどの炎症性サイトカイン刺激に応じてIKKの制御サブユニットであるNEMOを直鎖状ポリUb鎖修飾し、古典的NF-κBシグナル伝達経路を活性化する。これまでの研究として、Met1結合型ポリUb鎖特異的な合成を行うUbリガーゼ複合体LUBACの結晶構造決定を目指していたが、2013年度海外のグループに先を越され、結晶構造解析によりLUBACのMet1結合型Ub鎖特異的合成メカニズムが明らかとされたため、我々は研究計画の変更を余儀なくされた。一方、LUBACの研究の過程で得られた酵素を利用することで、これまで大量調製が難しかったLys6結合型、Lys29結合型、Lys33結合型ポリユビキチン鎖の酵素を用いた合成法について実験を行い、これらのUb鎖の大量調製に成功した。さらに、ミトコンドリアの品質管理に関与する脱Ub化酵素であるUSP30がLys6結合型Ub鎖に対して強い活性を持つことを確認し、USP30とLys6結合型ユビキチン鎖の複合体の結晶構造を決定した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 42123
10.1038/srep42123
巻: 7 ページ: 40909
10.1038/srep40909
巻: 6 ページ: 33548
10.1038/srep33548