研究課題
本研究は、ポストリン酸糖鎖修飾という、疾患発症にも直結する、新しい翻訳後修飾に着目し、その構造、機序、生理的意義を解明することを目的とする。また、筋幹細胞におけるポストリン酸糖鎖の役割を明らかにすることで初めて理解できる、筋再生や発症のメカニズムに基づき、筋疾患の効果的な治療条件を見出していく。本研究によって、翻訳後修飾という重要な生体内化学反応に新たな原理を追加でき、また、筋ジストロフィーの克服にむけたトランスレーショナル研究に有益な基盤情報が得られる。本年度は、ポストリン酸糖鎖不全の筋ジストロフィー疾患モデルとして、フクチン欠損マウスおよびLarge変異マウスを用い、遺伝子治療・糖鎖治療の有効性を検討した。治療標的組織として筋線維、遺伝子ベクターとしてアデノ随伴ウイルスを用い、発症後における介入を試みた。その結果、いずれの疾患モデルにおいても、遺伝子治療によって、十分な治療効果が得られることが示された。一方で、ポストリン酸糖鎖不全を万能的に解消できるとされるLARGE遺伝子・糖鎖治療の場合は、その適応範囲が限定的であることも世界ではじめて実証された。以上の結果は、筋ジストロフィー治療法開発にとって重要な基盤情報となる。また、ポストリン酸糖鎖修飾の構造および修飾酵素の解明に必要な各種組み換え体の発現・精製方法も確立され、本研究を基盤に、ポストリン酸糖鎖修飾の全容解明への道筋が整った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
http://www.med.kobe-u.ac.jp/clgene/
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