研究課題/領域番号 |
24687020
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 秀明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (40346169)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ボルト / X線結晶構造解析 / 脂質ラフト / 自然免疫 |
研究概要 |
ボルトは、3種類のタンパク質(MVP、VPARP、TEP1)と1種類のRNA(vRNA)で構成される分子量約1000万の巨大な核酸-タンパク質複合体で、哺乳類など幅広い高等生物が持つことが知られています。粒子の発見から25年以上経った現在も本質的な機能は明らかになっておらず、生物学におけるミステリーと言われています。我々は、2009年にMVPで形成されるボルト粒子外殻の3.5A分解能での全体構造決定に成功しましたが、粒子内部に存在するマイナー成分の構造は決定できていません。したがって、本研究では、X線結晶構造解析により全ての成分を含んだボルト粒子の全立体構造を2.8A分解能以上で決定し、近年停滞気味であるボルトの機能解明への道を切り開きます。 これまでに、昆虫細胞で発現したボルトの2.9A分解能の回折点を得る事に成功しています。今後、結晶に抗凍結剤を浸透する際の条件(浸透時間や濃度の上げ幅、温度等)を厳密に制御することでより高分解能の回折強度データの収集を目指します。昆虫細胞発現系による組み換えボルトは次の3種類について同時に進めています。まず、1つはMVPのみで構成されるボルト粒子(ボルト外殻)です。現在、フレキシブルなMVPのN末端(粒子ウェストを形成)をロイシンジッパーで固定化することで、昆虫細胞1L培養あたり80mgの高純度ボルト粒子(LZ-ボルト)を得る事が可能となりました。このLZ-ボルトを結晶化試料として用いることで、結晶の質の向上が期待できます。もう2つの試料は、UCLAとの国際共同研究で進めておりますMVP-VPARP、MVP-VPARP-TEP1複合体です。昆虫細胞を用いた発現系によりVPARPやTEP1をボルト粒子内に過剰に詰め込むことで、これらマイナー成分の電子密度がより明瞭になる可能性があります。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボルト外殻を形成するMVPのN末端にロイシンジッパーを付加することで(LZ-ボルト)、昆虫細胞での発現量が大幅に増加し、昆虫細胞1L培養あたり80mg(従来比の15倍以上の収量)の均一で安定なボルトを得る事が可能となった。このLZ-ボルトを用いて良質結晶の作成を目指している。また、他の構成成分の発現系構築も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前述したLZ-ボルトを用いて、2.8A分解能以上の高分解能の反射を示す良質な結晶の作成を目指す。また、他の構成成分についても精製条件を確立し、結晶化条件の検索を開始する磯 主にボルトの発現、精製、結晶化に必要な試薬、消耗品用の費用として使用する。
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