研究課題/領域番号 |
24687025
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
持田 悟 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (60590304)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タンパク質リン酸化 / 細胞周期 / 脱リン酸化酵素 |
研究実績の概要 |
26年度は計画3「新規PKase-PPaseペアの同定と探索」に着手した。より具体的には細胞分裂期に重要な役割を果たすことが知られているPolo-like kinase(アフリカツメガエルではPlx1) の基質を脱リン酸化する脱リン酸化酵素(PPase)の探索である。カエル卵抽出液からPPaseを1つずつ除去していきPlx1基質に対する残存PPase活性を測定したところ、PPPファミリーのPP4、PP1、PP2Aで有意な減少が見られた。PP4は他のPPPファミリーメンバーと同様に複数の制御サブユニットを持つため、次にPP4制御サブユニットに対する抗体を作成し免疫除去(抗体を用いて細胞抽出液から特定のタンパク質を除く手法)を行った。その結果、制御サブユニットPP4R1を含む複合体がこのPPase活性の一部を担っているという結果を得た。そこでPP4R1を細胞抽出液から除去して細胞周期進行に欠損が見られるかを検証したところ、顕著な表現型は見られなかった。このことはPP4R1以外にも機能的なPPaseが存在することを示唆し、それはPP4R1がPlx1基質に対するPPase活性の一部であったことと矛盾しない結果である。このことからPKase-PPaseの対が比較的1:1に近かったCDKと比較して、Plx1はその基質がより多くのPPase種に脱リン酸化されていることを示唆する結果であり、今後の研究方針へのヒントを得ることができた。PPase活性の一部を担うPP1、PP2Aの制御サブユニットの同定については未だ手付かずの状態であり、延長した残り期間で明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ENSAの機能ドメイン、及びそのリン酸化の生化学的意義の解明に成功し、残りの計画についても多くの知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
Plx1の基質を脱リン酸化するPPaseの同定を順次行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体作製に向けた遺伝子クローニングにおいて、予想外にcDNAの増幅が難しい遺伝子が複数あったため、それらの組み 替えタンパク質の作成、そしてそれら抗原としたウサギ抗体作製の外注を研究期間内に行うことが出来なかった。その 為、それらにかかる外注費、消耗品の費用が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度に予定していた通り、抗体作製の外注費、及び抗体の精製の為の消耗品費として使用する予定である。そのた め研究計画自体に変更は無い。
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