本研究では、個体における細胞移動の作動機序を解明する目的で、ショウジョウバエ雄性生殖器を取り囲む上皮組織の細胞集団移動をモデルに、個体における細胞移動の作動機序を解析した。外生殖器を取り囲むリング状の構造をした単層の上皮組織には、600個以上の上皮細胞が含まれており、互いに接着性を保ったまま集団で移動する。研究代表者らは、移動する上皮細胞集団の頂端面に左右非対称な平面極性があることを見出し、それに準ずる細胞接着面のつなぎ替えと細胞間張力の揺らぎによって、細胞同士が斜めにずれ続けることで、接着性を保った細胞移動が成し遂げられることを、実験・計測・理論を組み合わせた研究により明らかにした。
|