研究課題/領域番号 |
24688005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山次 康幸 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40345187)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | RNAサイレンシング / 自然免疫応答 / 植物ウイルス / 抵抗性 |
研究実績の概要 |
植物はウイルスの感染に対して、RNAサイレンシングならびに自然免疫応答という2つの防御メカニズムを備えている。本研究ではこれらを対象として、それぞれの防御応答機構を詳細に解析するとともに、 これらの間に存在するクロストークを明らかにすることを目的とする。 JAX1はポテックスウイルスの感染を強く抑制する抵抗性遺伝子であるが、JAX1による抵抗性は自然免疫応答の1種である。前年度はJAX1による抵抗性を打破するウイルスが複製酵素に変異を持つことを明らかにした。そこで、今年度はウイルス複製酵素、移行タンパク質、外被タンパク質遺伝子にそれぞれ変異を導入し、JAX1発現植物に接種試験を行うことにより、JAX1抵抗性にはウイルス複製酵素が必要十分であることを明らかにした。 一方、前年度にポテックスウイルスのRNAサイレンシングサプレッサーであるTGBp1の機能解析を行い、TGBp1形質転換植物の表現型解析ならびに小分子RNAのディープシークエンス解析により、TGBp1がtasiRNA合成に関与する経路を標的とする可能性が考えられた。そこで、今年度はTGBp1がtasiRNA合成のどのステップを阻害するかについて解析した。すなわち(1)DCL1によるpre-miRNAの切断、(2)切断後のRNA断片を鋳型とした二本鎖RNA合成、(3)DCL4による二本鎖RNAの切断、のいずれのステップを阻害するかを解析し、TGBp1が(2)の二本鎖RNA合成を阻害することを明らかにした。そこで、この反応に関与するシロイナナズナタンパク質SGS3およびRDR6とTGBp1の免疫沈降実験を行い、TGBp1がこれらと相互作用することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自然免疫応答ならびにRNAサイレンシングについて解析し、自然免疫応答においてはJAX1抵抗性の機能解析において予定通りの成果を得た。一方、RNAサイレンシングは当初の予定を上回るペースで研究が進んだ。以上より概ね研究計画は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はRNAサイレンシングサプレッサーであるTGBp1について重点的に解析し、その機能の大部分を明らかにするなど、当初の予定以上の成果を得た。TGBp1は主要なRNAサイレンシングサプレッサーであり、その機能解明は新規かつ重要な課題である。そのため、平成27年度はTGBp1の機能の全容解明に重心を置いて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術支援員を雇用し、効率的に研究を行うことにより物品費等を節約することができたため
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き学術支援員を雇用し効率的に研究を推進するとともに、必要な物品の購入を行う。また、最終年度につき研究成果の社会還元を目的として学会等に参加・発表するため旅費を使用する。
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