研究課題
植物はウイルスの感染に対して、RNAサイレンシングならびに自然免疫応答という2つの防御メカニズムを備えている。本研究ではこれらを対象として、それぞれの防御応答機構を詳細に解析するとともに、 これらの間に存在するクロストークを明らかにすることを目的とする。JAX1はポテックスウイルスの感染を強く抑制する抵抗性遺伝子であるが、JAX1による抵抗性は自然免疫応答の1種である。自然免疫応答に広く関わる植物遺伝子SGT1とMAPKKKとJAX1抵抗性との関連を調べるため、SGT1もしくはMAPKKKを発現抑制した葉におけるJAX1抵抗性を調べたところ、いずれにおいてもウイルス抵抗性は影響を受けなかったことから、JAX1抵抗性にSGT1、MAPキナーゼ経路が関与しないことが明らかになった。一方、前年度にポテックスウイルスのRNAサイレンシングサプレッサーであるTGBp1の機能解析を行い、TGBp1が二本鎖RNA合成に関与するシロイヌナズナタンパク質SGS3およびRDR6と相互作用することを明らかにした。今年度はこれらの局在解析を行い、SGS3を単独で発現させた場合は細胞質に散在しているが、TGBp1と共発現させると核近辺に凝集することを明らかにした。TGBp1はSGS3/RDR6を凝集させることによりこれらの機能を阻害することが示唆された。また、サイレンシングサプレッサー欠損cucumber mosaic virusはサイレンシング因子が欠損したシロイヌナズナミュータントで蓄積量が増加することが明らかにされている。これをTGBp1形質転換植物に接種したところ、ウイルス蓄積量が劇的に増加した。この結果から、TGBp1がサイレンシング経路を阻害する機能を持つことが確かめられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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