研究課題
本研究ではアミノ酸水酸化酵素の一種であるα-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ(DO)を新規に取得し、その触媒機能性および遺伝子構造情報を利用することで、新規ペプチド分子種の探索と効率的な生合成手法の開発を実施した。Burkholderia ambifaria AMMD株由来のSadAはN-スクシニル-L-ロイシンの3位水酸化酵素であり、本菌において非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)様クラスター構造の一部を形成している。今年度は本ペプチドの生合成経路の解明を目指した。まず安定同位体(U-13C6)標識N-スクシニル-L-ロイシンをSadA酵素触媒による水酸化反応に供し、U-13C6-N-スクシニル-L-threo-3-ヒドロキシロイシンを光学純度よく、著量生成できた。本生成物をB. ambifaria AMMD株の培養液中に投入し、培養液を酢酸エチルで抽出した後に溶媒を除去し、重水に溶解して13C-NMR解析に供した。その結果、代謝変換物と考えられる新規なピークの出現が確認できた。現在までに代謝変換物の構造決定までには至っていないが、培養条件の検討や抽出法の改善などにより代謝変換物の同定が可能であると考えられる。さらに本年度までに実施したスクリーニングの結果、環状アミノ酸の水酸化反応を強く触媒するDO類を見いだした。この内Fusarium oxysporum c8D株由来のDOであるPip4H1に関して詳細な酵素機能解析を進めた。Pip4H1はL-プロリン、L-ピペコリン酸、L-ロイシンに作用して4位水酸化産物を生成する事が分かった。Pip4H1を酵素触媒として利用したL-ピペコリン酸の水酸化反応試験では、トランス4位水酸化L-ピペコリン酸を10 g/L、99%以上の光学純度で生成することに成功した。このようにPip4H1は上記SadAと同様に様々な同位体標識水酸化アミノ酸の生産への応用が可能である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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