研究課題
トリプトファンのイソプレニル化が普遍的に存在する機能発現に必須な翻訳後修飾であることを証明するために、まず、これまでの研究によって明らかとなったComXとComQのコンセンサス配列をコードする両遺伝子を有し、両遺伝子がクラスターを形成している細菌をゲノム配列のデータベースから検索し、属の異なる候補細菌を5種類ほど選別した。修飾ペプチドが常分泌型でない可能性や、分泌量が少ない可能性を考慮し、選別した遺伝子クラスターを有するプラスミドを候補細菌のDNAを鋳型に市販のベクターを用いて作製し、大腸菌に導入して過剰発現を試みたが、残念ながら両候補とも発現しなかった。そこで、ベクターの種類、配列などを検討し、新たに別途ベクターを作製した。次に、作製した新規ベクターを用いて、分子生物学的手法によりcomQX候補ではなく、comQ候補のみ、および、comX候補の過剰発現大腸菌を作製することにした。選別したco調候補を有するプラスミドを候補細菌のDNAを鋳型に作成し、大腸菌に導入して過剰発現を試みた結果、comQ候補過剰発現大腸菌を作製することに成功した。同様にして、選別したcomX候補を有するプラスミドを候補細菌のDNAを鋳型に作成し、大腸菌に導入して過剰発現を試みた結果、comX候補過剰発現大腸菌を作製することに成功した。なお、今後はベクターの種類、配列などを再検討し、他の候補細菌についてはcomQX候補過剰発現大腸菌も作製する予定である。
2: おおむね順調に進展している
ComXとComQの両遺伝子がクラスターを形成している細菌をゲノム配列のデータベースから検索し、候補を選別することができたため。また、comQX候補過剰発現大腸菌は作製出来なかったものの、comQ候補過剰発現大腸菌と、comX候補過剰発現大腸菌を作製することに成功したため。
今後は、それぞれ得られた修飾酵素ComQ候補と基質ペプチドComX候補を用いたin vitroイソプレニル化反応によるComXフェロモンの生合成反応条件を検討し、イソプレニル化活性をLC-MSを用いて評価する条件を確立する予定である。
候補細菌を当初の予定よりも少ない5種類に限定したため当該助成金が生じた。次年度の研究費は、ComXフェロモンの化学構造を証明するために必要な物品費、人件費・謝金に用いる予定である。また、研究成果発表や論文掲載のために必要な旅費、その他の論文掲載費に用いる予定である。
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