研究課題
脂肪を摂取すると視床下部弓状核のPOMC神経が活性化されこの神経からbeta-endorphinが放出されることをこれまで明らかにしてきた。POMC神経は食欲調節だけではなく様々な機能を持ち、エネルギー消費の調節なども行っている。そこで、脂肪摂取がPOMC神経を介して実際にエネルギー代謝に影響を与えているのか検討を行った。muオピオイド受容体阻害剤のNaltrexone(NTX)はbeta-endorphinの受容体への結合を阻害し、間接的にPOMC神経を活性化する。POMC神経は絶食により活動が抑制され、食事摂取により活性化される。はじめに絶食下でNTXを投与すると標準飼料、そして脂肪や高脂肪食の摂食量が減少することが明らかとなった。これはNTXがbeta-endorphinの作用を抑制したためだと考えられる。しかしながらエネルギー代謝に影響はみられなかった。次に高脂肪食を摂取させることによりあらかじめPOMC神経を活性化したマウスにNTXを投与して検討を行った。呼気ガス分析による間接熱量測定でエネルギー消費量を検討したところ、NTX投与群で高い値がみられた。通常食(標準飼料)を摂食させた場合にはこのようなことは起こらなかったことから脂肪の摂取が脳内のなんらかの経路によりエネルギー代謝を変化させることが示唆された。糖質燃焼量、脂質燃焼量の割合に変化はみられなかった。また、NTX投与により自発行動量が少なくとも4時間は継続して高くなる傾向が観察された。以上の結果より、NTXの投与のみではエネルギー代謝が変化せず、脂肪摂取によりあらかじめPOMC神経を活性化すると、エネルギー代謝を変化させることが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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