研究課題/領域番号 |
24688015
|
研究種目 |
若手研究(A)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 剛 京都大学, 生理化学研究ユニット, 特定助教 (10550311)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 食品 / 肥満 / 分岐鎖アミノ酸 / アミノ酸 / 脂肪細胞 |
研究概要 |
肥満はメタボリックシンドロームの発症基盤となり、その増加は世界的な健康問題となっている。肥満時には、多くの血中アミノ酸が変動することが知られている。本研究は、アミノ酸と肥満の関係について明らかにし、アミノ酸(特に肥満者の血中濃度の上昇が報告されている分岐鎖アミノ酸(BCAAs})を用いた肥満に対する新たな予防・治療戦略の提言を目的としている。 肥満者での血中BCAAsレベルの上昇は、肥満時のBCAAs代謝能の低下に起因する可能性がある。しかしながら、BCAAs代謝と肥満に伴う代謝異常症の発症については未解明な部分が多く残されている。そこでまず、肥満に伴う代謝異常症の発症と深く関連することが知られる脂肪細胞におけるBCAAs経路上の酵素群の発現変動について検討した。その結果、前駆脂肪細胞から脂肪細胞へと分化する過程において、多くのBCAAs代謝酵素の発現が変動することが明らかになった。その中でも抹消組織におけるBCAAs代謝の初発酵素であるBCAT2の発現は脂肪細胞分化に伴い上昇し、脂肪細胞の肥大化に伴い低下することが示唆された。そこで、BCAT2の機能と脂肪細胞の機能の関連性について明らかにするため、BCAT2に対するshRNAを発現するアデノウイルスの作成を行った。現在、脂肪細胞機能に対するBCAT2ノックダウンの影響について解析中である。また、個体の組織レベルでのBCAT2機能について明らかにするため、組織特異的なBCAT2欠損マウスの作成を行なっている。現在BCAT2遺伝子領域をloxP配列で挟んだfloxマウスの作成を行なっており、ターゲティングベクターを構築し、組換えES細胞を取得中である。 本研究においてBCAAs代謝と肥満との関係が明らかになれば、BCAAsのようなアミノ酸機能を利用した新たな肥満症の予防・治療法の創出が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BCAAs代謝経路と肥満症の関連性を示すことが本研究の目的であり、今年度は脂肪細胞においてBCAAs代謝酵素群の発現変動が確認でき、代謝異常症と関連性がある可能性が見出された。また、特徴的な発現変動を示したBCAT2の細胞レベルおよび個体レベルでの機能欠損実験の準備を整えることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞レベル、個体レベルにおいて、BCAT2の機能欠損と代謝異常症の関連について検討する。細胞レベルではBCAT2機能欠損が脂肪細胞機能に与える影響について、詳細な検討を行う。また個体レベルではBCAT2のfloxマウス、脂肪細胞特異的Cre発現マウスの樹立・導入を行う。更にBCCAAsおよび他のアミノ酸摂取と肥満に伴う代謝異常症の関連について個体レベルで検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に実施を検討していた、BCAA摂取時の糖・脂質代謝変化に関する統合的オミクス解析を平成25年度に実施する予定である。BCAAs代謝と肥満に伴う代謝異常症の関連性に加え、BCAAs摂取時の糖・脂質代謝変動機構について、統合的オミクス解析により明らかにすることで、BCAAs機能を利用した新たな肥満症の予防・治療法の提言を試みる。
|