研究課題
肥満と分岐鎖アミノ酸(BCAA)および他のアミノ酸代謝の関連性について検討を行い、以下のような知見を得た。抹消組織におけるBCAA代謝の初発酵素であるBCAT2を脂肪組織において欠損させたマウスでは、摂食状態での血中BCAA濃度には変化が認められず、通常条件の飼育下では体重等の変化も認められなかった。これらの結果は、肥満時に報告されている血中BCAA濃度の増加は、脂肪組織のBCAA代謝能の低下のみによるものではないことを示唆している。脂肪組織において活性型PPARα(脂肪酸酸化の鍵因子)を発現するトランスジェニックマウス(Tg)では、高脂肪食摂取下での血中BCAA濃度が野生型マウス(WT)に対して低値を示すことをメタボローム解析において見出した。WTとTg間で体重には有意な差が認められなかったが、Tgの脂肪組織では脂肪細胞の小型化が認められた。また、TgではWTに比して、肥満状態で惹起されるインスリン抵抗性が改善していること、および血中の遊離脂肪酸濃度が低下することが明らかになった。以上の結果から、脂肪組織におけるPPARαの活性化は全身のBCAA代謝に変化を来すことが示されたとともに、脂肪組織におけるPPARαの活性化により、脂肪酸異化が亢進し、インスリン抵抗性が改善することが示唆された。前年度に引続き、脂肪細胞分化の鍵因子であるPPARγアゴニストによるアミノ酸代謝制御について検討を行った。今年度は、脂肪細胞に対するPPARγアゴニストの添加により、BCAAを含む数種のアミノ酸の細胞内レベルが変動することを明らかにした。これよりPPARγアゴニストは直接的に脂肪細胞に作用し、脂肪細胞のアミノ酸代謝調節を行うことで、血中アミノ酸濃度の変動を惹起することが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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