東南アジア熱帯雨林の優占樹種であるフタバガキ科樹木の雑種化の現状評価と生態特性の解明を行った。サラノキ属の雑種稚樹の生存率や成長速度は両親種とほぼ同じだった。また、雑種個体は、やや明るい環境により定着していたことから、森林劣化による林内環境の明転が雑種の定着を促進する可能性が考えられた。まとまった面積で保全されている天然林では雑種がほとんど見つからなかったが、劣化した断片化林では雑種個体が見つかり、熱帯林の断片化がフタバガキ科樹木の雑種化を促進する可能性が示唆された。さらに、サラノキ属の雑種第二代や戻し交配個体など後継雑種も発見され、今後の劣化林の保全を行う上で問題になると考えられた。
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