本研究では、災害による経済ショックへの対応と共同体、組織の役割という視点から防災・復興時に農漁村の共同体や社会関係資本、NGOはどのような役割を果たしたか等の課題について回答を求める。 平成27年度は、前年度までに実施した調査研究のとりまとめと、日本の事例に関する分析を行った。本研究では、途上国の災害事例としてインドネシア東ジャワ州の工業災害(シドアルジョ泥流災害)とバングラデシュ南西部のサイクロン災害について調査研究を実施したが、今年度は、バングラデシュの事例では災害が教育に与える影響に着目した研究について得られたデータをとりまとめ、インドネシアの事例について現地専門家と成果を共有した。また、日本の事例については東日本大震災を事例としてとりあげている。 具体的には、インドネシア、シドアルジョの事例については、ボゴール農科大学やジャカルタの現地専門家との意見交換を行うことができた。バングラデシュ南西部クルナ管区シャッキラ県において、昨年実施した災害の教育への影響に関する現地調査結果を分析し、成果を国際学会で報告した。学会報告を踏まえて共同研究者と議論を行い、論文を現在投稿準備中である。日本の事例については、宮城県における都市農村交流が復興に果たした役割に着目し、関連する研究者と議論を行い交流事業に関する研究を開始した。議論を進める中で、まず都市農村交流事業の実態把握が必要との認識に至り、農業センサスを用いた分析を実施し、国内学会で成果報告を行った。
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