研究課題/領域番号 |
24688026
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高山 弘太郎 愛媛大学, 農学部, 准教授 (40380266)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光合成 / 生体情報 / 環境応答 / 蒸散 / 計測 |
研究概要 |
Chl蛍光計測技術を用いた光計測により光合成機能を評価する手法である減圧パルス-クロロフィル蛍光計測技術を用いて,光合成速度を計測するための研究開発を行なった。昨年度まで手動にて行っていた減圧付与処理では,繰り返しでの安定した減圧処理が困難であったため,真空ポンプ (Mini Diaphram Vacuum Pumps, KNF, Germany)を用いて容量18.2 Lのアクリル真空容器内をあらかじめ減圧しておき,これとリーフチャンバを繋ぐ(逆流防止機能付の電磁弁を開く)ことで瞬間的な減圧を可能にした。この改良により80 kPaの減圧(到達可能気圧 20 kPa)が可能となった。本年度の研究より,大気圧からの減圧量を減圧強度と定義することとした(80 kPa減圧時には「-80 kPa」と表記)。リーフチャンバと光合成蒸散測定装置との接続部には三方向電磁弁を配し,各電磁弁はコントロールパネルにより自動制御され,チャンバの密閉から 0.1 秒後に減圧パルス(10 秒間)を付与する。トマト(Solanum lycopersicum L., 品種: 大安吉 日)の完全展開葉を対象として計測を行い,①減圧強度を大きくするとPeak height が大きくなること,②光合成速度とPeak height の関係が,CO2濃度が400~800 μmol mol-1 では正の相関があるが,より広範なCO2濃度条件では指数関数的な関係になることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
減圧パルス-クロロフィル蛍光計測技術を用いて光合成に関するダイナミックな応答を計測するためには,連続的かつ安定的に減圧パルスを付与できる必要がある。これまでに開発したシステムでは,減圧付与を手動で行っていたためこれが困難であった。本年度は,より正確な植物情報を得るためのシステム強化のために,減圧付与プロセスを根本的に改善(具体的には真空ポンプを用いて容量18.2 Lのアクリル真空容器内をあらかじめ減圧しておき,これとリーフチャンバを繋ぐことで瞬間的な減圧を可能にした)するために時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の減圧付与プロセスの改良により,様々な環境条件下でダイナミックに変化する光合成の情報を得られるシステムができた。次年度は,減圧パルス-Chl蛍光計測システムと蛍光画像計測技術を統合し,葉面における光合成機能分布の解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
減圧パルス-Chl蛍光計測システムと蛍光画像計測技術を統合し,葉面における光合成機能分布の解析を行う予定であった。しかし,減圧パルスによるChl蛍光強度変化量が画像計測可能なレベルを下回っており,減圧量を大きくした計測プロトコルの再検討が必要となった。そのため,計画を変更し,減圧量とChl蛍光強度変化量の詳細な解析と減圧の大きさが光合成速度および蒸散速度に及ぼす影響の詳細な解析を行い,システム設計の最適化を図ったため,減圧パルス-Chl蛍光計測システムと蛍光画像計測技術を統合およびこれを用いた生体情報計測の実験を次年度に行うこととした。 減圧パルス-Chl蛍光計測システムと蛍光画像計測技術を統合し,葉面における光合成機能分布の解析を行う。減圧パルス-Chl画像計測システムの作製およびこれにより得られる成果の発表のために当初執行予定であった予算を使用する。
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