研究課題/領域番号 |
24688032
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
加藤 健太郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特任准教授 (30401178)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 原虫 / 糖鎖 / 宿主細胞侵入 / 感染 / 抗原虫薬 |
研究概要 |
原虫感染症は畜産・獣医学領域のみならず、医学領域においても甚大な被害を与えている。現在のところその対策はサルファ剤等の古典的な化学薬剤に頼ったものであり、耐性原虫の出現も多く、根本的な駆虫には至っていない。このような背景のもと、研究代表者らは、根本的な原虫病の撲滅をはかるためには原虫独特の生活環における原虫感染(宿主細胞侵入)のメカニズムの理解が必要であると考え、原虫の宿主細胞レセプターの同定系を確立し、原虫膜抗原に対応した複数の糖鎖レセプターの同定に成功した。これらの研究成果を踏まえ、本研究ではさらなる原虫感染レセプターの同定と新しい同定系の開発を行うこと、さらに、同定した糖鎖レセプターについて原虫の宿主細胞侵入において果たす役割について解析を行うことを研究の目的とする。 初年度である平成24年度は原虫の膜蛋白質と結合する宿主細胞分子の同定を目的として質量解析を行い、糖鎖レセプターを含む複数の膜蛋白質結合分子の同定を行った。また、原虫の感染阻止に効果的な物質を作製するため、多糖類に硫酸化等の修飾を付加した物質を作成し、次年度以降の原虫増殖阻害試験に供した。以上の研究成果は、次年度以降に予定している原虫の宿主細胞侵入において糖鎖が果たす役割の解明や抗原虫薬としての糖鎖薬の開発につながり、意義のあるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、初年度である平成24年度は質量解析を用いて、原虫の膜蛋白質に結合するレセプター因子を含む複数の宿主細胞因子を同定した。また、原虫の感染阻止に効果的な物質を作製するため、多糖類に硫酸化等の修飾を付加した物質を作成した。以上のことから、今年度の研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に質量解析を用いて同定した原虫の膜蛋白質に結合するレセプター因子を含む複数の宿主細胞因子について、実際に原虫感染時にどのような役割を果たしているか解析を行う予定である。また、平成24年度までに作製した硫酸化等の修飾をつけた多糖類を用いて、原虫の宿主細胞侵入の阻害効果の検討も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者が2名、それぞれ平成24年9月及び10月に中国の研究所及び大学の研究所に就職が決定し、同定したレセプターの機能解析の技術を有する代替者を新たに確保する必要が生じたため。 同定したレセプターの機能解析に必要な物品費と新たに確保する予定である研究補助者の人件費を計上した。研究協力者の中に研究代表者らと異なる場所で研究を実施している者がいるため、研究打合せのための旅費を計上した。
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