研究課題
原虫感染症は畜産・獣医学領域のみならず、医学領域においても甚大な被害を与えている。現在のところその対策はサルファ剤等の古典的な化学薬剤に頼ったものであり、耐性原虫の出現も多く、根本的な駆虫には至っていない。このような背景のもと、研究代表者らは、根本的な原虫病の撲滅をはかるためには原虫独特の生活環における原虫感染(宿主細胞侵入)のメカニズムの理解が必要であると考え、原虫の宿主細胞レセプターの同定系を確立し、原虫膜抗原に対応した複数の糖鎖レセプターの同定に成功した。これらの研究成果を踏まえ、本研究ではさらなる原虫感染レセプターの同定と新しい同定系の開発を行うこと、さらに、同定した糖鎖レセプターについて原虫の宿主細胞侵入において果たす役割について解析を行うことを研究の目的とする。平成26年度は、原虫感染に関わることが示された宿主細胞側の糖鎖について、結合を示す原虫分子を同定するために質量解析を行った。ここで得られた原虫分子について、実際に糖鎖への結合を解析した。さらに、実際に同定した原虫蛋白質が宿主細胞に結合するか解析を行った。
2: おおむね順調に進展している
原虫感染を阻害する糖鎖分子と実際に結合する原虫蛋白質の同定に成功した。また、同定した原虫分子が実際に宿主細胞に結合することが示された。これにより、原虫感染に関わる糖鎖レセプターの役割を解析することに成功した。従って、本研究はおおむね順調に進展している。
今回同定に成功した糖鎖に結合する原虫分子について、実際に感染時に原虫のどこに局在して、感染にどのように関わっているのかを、今後の研究において詳細に解析していく必要がある。
平成26年10月、糖鎖薬の解析について専門的な知識を有する研究協力者が病気により実験動物での糖鎖薬の原虫感染阻止試験に参画できなくなったため。
当初計画から変更を行ったため、変更した実験を行うための消耗品費として物品費を計上した。研究協力者の中に研究代表者らと異なる場所で研究を実施している者がいるため、研究打合せのための旅費を計上した。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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